「はあっはっはっはっはっはっはっはっはっ」
飞騨鹰比等の戦い方を一言で言うと、もしもその埒外の行为を戦いと呼ぶこ
とが出来るのならだが、自爆ということに尽きる。
扱いをひとつ间违えれば、たとえ间违えなかったところで、ちょっとした弾
みで、辺り一体を灰烬と化して仕舞い兼ねない分量の火薬を全身に帯びて、
彼は后先考えずに、敌に対して特攻するのだ。
とてもそれは、文字通りの、一国一城の主のすることではない。否、后先考えずというのは、外から见た时の、いわば凡俗の言い草に过ぎず
、鹰比等自身には、确実无比な计算がある。
それが、これが最も自分に相応しき戦い方であり、戦法であり、策であると
いう自信がある。
だから、彼は笑うのだ。
笑いながら戦い、笑いながら杀すのだ。
「はあっはっはっはっはっはっはっはっはっ」
自治区出云、神々が住まう地の焼け野原において、戦死者の绒毯が敷かれた
舞台において、飞騨城城主、日本全土を巻き込む大乱の首谋者、飞騨鹰比等
と、虚刀流六代目当主、鑢六枝が杀し合う。
超接近戦である。
信じられないような近距离で、鹰比等は手持ちの火薬玉に点火して、六枝の
体を焼こうとする。
そんな位置関系で爆発が起これば、彼自身も、间违いなく无事では済まない
だろうに。
そんなことは、全く気にも留めない。
「ぐっ」
などと、そんな风に呻き、当惑しながら、六枝がちゃんと防御をし、その火
薬玉を远方へと弾き飞ばすことを、あらかじめ読んでいるのかといえば、勿
论読んでいる。
それだけ六枝の実力を、かの无刀の剣士の実力を、鹰比等は高く评価してい
る。
実际、この飞騨鹰比等と鑢六枝、この二人がこんな风に戦うのは、実力较べ
、実力の见せ合いっこをするのは、これが初めてのことではないのだ。
何度も何度も、数え切れないほどに、彼と彼は杀し合い続けて来ている。
そこに、ある种の连帯感さえも感じ合えるほどに。
だから鹰比等はそれを踏まえた上で、自爆としかいいようのない特攻を、ひ
たすらに缲り返すのだった。
もっとも、その周辺を全く考虑しない、爆破に満ちた决闘に巻き込まれない
よう、そして、己の仕える主人の邪魔をしないよう、その场から距离を取っ
た、真庭毒蛇、首に言わせれば、
「もしも、鑢六枝が、ただの一介の、どこにでもいる十把一络げの剣士だっ
たとしても、御馆様は同じように戦うだけのこと。実际、暗黒城を落とすと
きも、出云に绒毯を敷き诘めるときも、あの方はそうしたのだ。そう、御馆
様は、単に决めているに过ぎない。どんな小さな命を夺うときでも、例外な
く自分の命を悬けようと」
というだけのことなのだけれど、この见识もまた、正解である。
今回の反乱にしたって、出来ることなら、鹰比等は军など使わず、策など弄
せず、尾张幕府の人间を、一人一人顺番に、たった一人で杀したいと、确か
に思っているのだから。
「まっ、そんなことが出来りゃ苦労しないんだけどね。ふっはっはっ、しっ
かし、腕を上げたなあ、六枝くん。仆の必杀爆弾攻撃をものともしないじゃ
ないか?」
「ふんっ、お前こそな」
笑いつつ戦う鹰比等に対し、六枝は厳しい表情を崩さない。
今の筋肉の块の如き鑢六枝は、元々感情が颜に出ない种类の刀であるとはい
え、しかしその表情は、そのまま现况の厳しさを表しているとも言えた。
「相変わらず、とでも言うのか。否、前に杀し合った时よりも更に酷くなっ
ているな、お前のそのえげつのない性格は」
