それから？

……違う。

この海に渦巻くモノノ怪…それはお庸さんの怨念では、ない。それは、『真』では、ない……

｛しかし現にお庸の恨みがこの海…何故、そう思われるのです？お庸さんが貴方を恨んでいると、貴方が言ったんですよ、お庸さんは自ら海へ出たのだと。｝

｛この海に或るモノノ怪の正体、それは何なのか？｝

｛…源彗殿…貴方は何を隠しているのですか？｝

｛モノノ怪を為すのは人の因果と縁、モノノ怪の"形"は人の情念そのもの。貴方はモノノ怪の"真"を求めてこの海に来た、その一方で貴方はそれを遠ざけようとしている。何故です？｝

｛…僅かだか、見えてきた。｝

｛源彗殿、貴方は、何を隠されているのです？その手で、どうされたのです？｝
【そういえば、源彗殿、その手で隠されているもの、どうされた？】

…ずっと"見て"いたのだな。

｛源彗殿、貴方の情念は"恐れ"、｝お庸さんを恐れ、己の心を恐れ、恐れは恐れを呼び…いつしか、人が得心できぬ程の強大な影となって、貴方と身を分かち、海をさ迷っていた。

"真"は、貴方だ。

…モノノ怪になる事などなく、柱となって、この海と一つになった。あの海坊主は心の奥底に在る別の覆い隠さんとした、貴方の、分…身。

源彗殿に問う！！このモノノ怪を斬るということは、源彗殿の心を斬ること…二つに分かたれた心を一つとし、貴方が最初からなかったものとしたかっこ"本心"を、心へ戻すということ。それでも良いかと…問う！！