むかしむかし、エンゲルランドと言う国に、
少々我侭でナルシストな、けれどそれはそれは美しいお姫様がおりました。
「ねえエステリオ、この国で一番美しいのは誰かしら!」
「それは姫、貴女様でございます」
国一番の美貌で皆にちやほやされていたお姫様でしたが、
ある日父親である王様の再婚で継母と一緒にやって来たノクシア姫は、
お姫様よりずっと綺麗で、性格まで良くって——
「ね、ねぇエステリオ、この国で一番美しいのは誰かしらっ……」
「それは——」
これは、ちょっとわがままなお姫様と、まるで鏡のように正直な彼女の召使いのおはなしです。