「あ、メガネをかけた赤いおさるさんだ。新ちゃん見て」
「本当だ」
新と麻衣の気球を目がけて' 赤い気球とエメラルドグリーンの気球が近づいてきた。
「おーい、新」
グリーンの気球から聞こえる叫び声は初の乗っている気球だった。
だから赤い方の気球は田中である。
「あ、合体するんだ!」
麻衣がうれしそうに言った。
「合体?」
「四つの気球がぶっつかって絡み合うの」
「うそ、こわいって」
「大丈夫、新ちゃん、これがすんごく面白いんだから」
こわがる新を横目に麻衣は、はしゃいでいる。
「うわっ」
ぐおん!
新の目の前に初を乗せた気球が絡みつくよっに迫ってきた。
「きゃっ」
ずしん!
気球と気球が衝突した。
気がつくと四つの気球が団子のように絡みあった。
もちろんこれも、プログラムされた気球の動きの一つであって、衝突してもまったく安全なのだ。
ずわーん!
しかし、気球は振り子のように大きく揺れた。
「わー、落ちる!!」
次の瞬間、気球は大きく反転し、気球に乗っていた新は弧を描くように、空中に投げ出され、真っ逆さまに落ちていくのだった。
「助けて!!」
初も叫んでいた。
「おおおおお」
田中も叫んで落ちていった。
「うわーい」
だが、一人麻衣だけは、この出来事を知ってたかのように、嬉しそうな悲嗚を上げて、空中に投げ出されていった。
(おーい、絶対安全なんて、うそだ!)
そう思ったが、ただ落ちていくだけでどうすることもできなかった。
けれども新の身体も、初の身体も、地面に叩きつけられることなく、ふんわりとした綿菓子のようなものに包まれて、またふわっと宙に浮いたのであった。
「ほうら、大丈夫だったてしょ?」
麻衣の声がした。
「これは?」
「クッション雲なの。万が一気球から落ちても、センサーがキャッチして、綿雲のクッションが張り巡らされて、落ちてきた人をキャッチしてくれるの」
麻衣の説明によると、これも、コンピューターであらかじめプログラミングされていることで、偶然のアクシデントのようにして、刺激的な楽しみを与えるというものなのだ。
「麻衣はね、このドッキングしたあとのクッション雲のレスキューが大好きなの。これを楽しみに毎週乗りにきてるんだから」
麻衣は得意になって説明を続けた。
「君、麻衣ちゃんていうのか。俺、初よろしく」
「私は田中です」
「新、いいよな、ずっとランデブーで麻衣ちゃんと一緒だったんだ」
「私で悪かったな。小僧」
「いや、そういう意味じゃないけど」
綿雲に包まれてマシュマロのように微笑んでいる麻衣の口元に、初もつい、心奪われるのだった。
四人をレスキューしたふかふかの雲のジュウタンはだんだん、地面にむかって降下し始めた、とおもったら再び上昇と下降をくりかえした。
「で、麻衣ちゃん、これから俺たちどうなるの」
「綿雲に乗ったまましばらくお散歩よ」
「何か孫悟空というか、魔法のジュウタンに乗ったみたいだなあ」
田中も嬉しそうに言った。
「本当だ」
新と麻衣の気球を目がけて' 赤い気球とエメラルドグリーンの気球が近づいてきた。
「おーい、新」
グリーンの気球から聞こえる叫び声は初の乗っている気球だった。
だから赤い方の気球は田中である。
「あ、合体するんだ!」
麻衣がうれしそうに言った。
「合体?」
「四つの気球がぶっつかって絡み合うの」
「うそ、こわいって」
「大丈夫、新ちゃん、これがすんごく面白いんだから」
こわがる新を横目に麻衣は、はしゃいでいる。
「うわっ」
ぐおん!
新の目の前に初を乗せた気球が絡みつくよっに迫ってきた。
「きゃっ」
ずしん!
気球と気球が衝突した。
気がつくと四つの気球が団子のように絡みあった。
もちろんこれも、プログラムされた気球の動きの一つであって、衝突してもまったく安全なのだ。
ずわーん!
しかし、気球は振り子のように大きく揺れた。
「わー、落ちる!!」
次の瞬間、気球は大きく反転し、気球に乗っていた新は弧を描くように、空中に投げ出され、真っ逆さまに落ちていくのだった。
「助けて!!」
初も叫んでいた。
「おおおおお」
田中も叫んで落ちていった。
「うわーい」
だが、一人麻衣だけは、この出来事を知ってたかのように、嬉しそうな悲嗚を上げて、空中に投げ出されていった。
(おーい、絶対安全なんて、うそだ!)
そう思ったが、ただ落ちていくだけでどうすることもできなかった。
けれども新の身体も、初の身体も、地面に叩きつけられることなく、ふんわりとした綿菓子のようなものに包まれて、またふわっと宙に浮いたのであった。
「ほうら、大丈夫だったてしょ?」
麻衣の声がした。
「これは?」
「クッション雲なの。万が一気球から落ちても、センサーがキャッチして、綿雲のクッションが張り巡らされて、落ちてきた人をキャッチしてくれるの」
麻衣の説明によると、これも、コンピューターであらかじめプログラミングされていることで、偶然のアクシデントのようにして、刺激的な楽しみを与えるというものなのだ。
「麻衣はね、このドッキングしたあとのクッション雲のレスキューが大好きなの。これを楽しみに毎週乗りにきてるんだから」
麻衣は得意になって説明を続けた。
「君、麻衣ちゃんていうのか。俺、初よろしく」
「私は田中です」
「新、いいよな、ずっとランデブーで麻衣ちゃんと一緒だったんだ」
「私で悪かったな。小僧」
「いや、そういう意味じゃないけど」
綿雲に包まれてマシュマロのように微笑んでいる麻衣の口元に、初もつい、心奪われるのだった。
四人をレスキューしたふかふかの雲のジュウタンはだんだん、地面にむかって降下し始めた、とおもったら再び上昇と下降をくりかえした。
「で、麻衣ちゃん、これから俺たちどうなるの」
「綿雲に乗ったまましばらくお散歩よ」
「何か孫悟空というか、魔法のジュウタンに乗ったみたいだなあ」
田中も嬉しそうに言った。