｛火薬は先程ので全て使ってしまいました。次にアヤカシが現れても、同じ手はもう、使えませんよ。｝

｛誰がやったにせよ、火薬は全部使ってしまいました。先程の手は、もう、使えませんよ。｝

次は、どんなアヤカシが、現れるのやら。

【そうそう、火薬は全部使ってしまいました。先程の手は、もう、使えませんよ。】

【人は変わるもの、時は移ろうもの、海はたゆとうもの。同じ港を目指し、船出したとて、見える海原、波の色、高さは、それぞれ相違えるもの。
　アヤカシ、モノノ怪、海坊主。人の心に闇ある限り、訪うものは絶えずして、向かえ、誘う声こそ、おそるるべし。】

…あんまり怖い顔してると、嫁のもらい手がなくなる。

…どうだかね

羅針盤に細工はしなかったとしても、私もこの龍の三角、妖の海へ連れて来られたんですよ。

さあ、どうだか…

はい、はい。

…現世に人や獣や鳥がいるのと等しく、この世ならざるアヤカシも、普くいるものだ。

ただ、どういう筋でなったにせよ、アヤカシの道理は人には理解らん。

｛或いは人の病みが、この世ならざるをも侵す。｝恨み、悲しみ、憎しみ、激しい情念がアヤカシと結びつくとどうなるか…最早封印の呪符など効かぬ摩羅の鬼。

ただし、モノノ怪の…

"真"とは事の有り様、"理"とは心の有り様。