そんな二人の、戦いとも言えない戦いを、离れた位置から见つめる目があっ
た。
鹰比等の参谋、首のものではない。
首から上が刀という意匠の彼には、そもそも目がないし、それに、その视线
の出元は、首が控えている场所よりも遥かに远い。
离れた位置の离れ方が、半端ではないのだ。
およそ、人间の视力では见えっこない距离関系であるにもかかわらず、その
女は、鹰比等と六枝の戦いを兴味深そうに眺めている。
身を隠してはおらず、堂々としたものだ。
それはそうである、鹰比等にしたって六枝にしたって、あるいはしのびであ
る首にしたって、あちらからは见えるはずのない位置だ。
「ふうむふむ、なるほど、大したものだにゃん、あの二人は。遅刻しちゃっ
たからもう终わっているかと思ってたけど、いやはや、あのまま二千年くら
い戦い続けそうな势いだにゃあん。もう杀し合いとか决闘とかいうより、あ
の二人だけで既に戦争形成しているにゃん。飞騨鹰比等の方はともかくとし
て、鑢六枝に対しては、同じ剣士として嫉妬さえ覚えざるを得ないって感じ
だにゃあん、こりゃあ」
女というよりは童女、童女というよりは幼女といった方が、少なくとも外见
からすれば适切だ。
そのいたいけな风貌や、裾を引き摺るようにして、一枚だけ羽织っている着
物の柄、そして、浮かべている无邪気な表情からすれば、五歳に足りている
かどうかも怪しい。
しかし、见た目に骗されてはならない。
彼女は、やはり幼女でも童女でもなく女なのだ。
その歳は、ゆうに三十を越えていて、どころか、出产さえ経験している。
女の名は、锖黒键と言う。
尾张幕府、今回の场合は家鸣将军家に直属で雇われている剣士であり、刺客
であり、そして暗杀者だ。
幕府の暗部を担う十一人众と、一人で匹敌するといわれる腕の持ち主で、剣
圣とさえ呼ばれている。
歴史上、最も强い剣士とも、あるいは端的に、死神とも呼ばれていた。
「鑢家、鑢家、虚刀『鑢』。まっ、四季崎のお父様が作られた作品の中では
最高峰とはいえ、未だ未完成のはずなんだけれどにゃあん。なのに、どうし
てあの领域まで达しているのかなにゃあん。ううん、どうやらあの反乱もの
に、引っ张り上げられているということなのかにゃあん」
舌足らずな独り言も、决して声を潜めたりはしない。
谁に闻かれても自分は构わないというように、黒键は堂々と大きな声で口に
する。
「あの破天荒で型破りな男、飞騨にゃんの、改窜された歴史の修正という目
的自体は、あの否定的なおかたの思想とは相反するものなんだろうけれど、
しかし场合によっては、それを上手く利用できなくもないんだけどにゃあん
。あのおかた一味のやってることも、必ずしも计画通りってわけじゃなく、
微调整をしまくっている段阶なんだしにゃあん。ううん、いっそう思い切っ
て、飞騨にゃんが将军をぶっ杀してくれたほうが助かっちゃったりするかも
しれないんだにゃあん」
将军家に仕える者でありながら、信じられないような台词を、言っただけで
打ち首になりかねない台词を、しかし臆面もなく言いつつ、黒键は戦いの推
移を见守る。
「ただまあ、飞騨にゃんは正直、そこまでするつもりはないんだろうにゃあ
ん。志が低いっていうのか、出来ることしかやらない现実主义者っていうか
、いずれにしても、头が良过ぎるというのも考えものだにゃあん。结局、そ
れは飞騨にゃんじゃなくて、鑢家か锖家がやらなくちゃいけないことなのだ
ろうにゃあん」
た。
鹰比等の参谋、首のものではない。
首から上が刀という意匠の彼には、そもそも目がないし、それに、その视线
の出元は、首が控えている场所よりも遥かに远い。
离れた位置の离れ方が、半端ではないのだ。
およそ、人间の视力では见えっこない距离関系であるにもかかわらず、その
女は、鹰比等と六枝の戦いを兴味深そうに眺めている。
身を隠してはおらず、堂々としたものだ。
それはそうである、鹰比等にしたって六枝にしたって、あるいはしのびであ
る首にしたって、あちらからは见えるはずのない位置だ。
「ふうむふむ、なるほど、大したものだにゃん、あの二人は。遅刻しちゃっ
たからもう终わっているかと思ってたけど、いやはや、あのまま二千年くら
い戦い続けそうな势いだにゃあん。もう杀し合いとか决闘とかいうより、あ
の二人だけで既に戦争形成しているにゃん。飞騨鹰比等の方はともかくとし
て、鑢六枝に対しては、同じ剣士として嫉妬さえ覚えざるを得ないって感じ
だにゃあん、こりゃあ」
女というよりは童女、童女というよりは幼女といった方が、少なくとも外见
からすれば适切だ。
そのいたいけな风貌や、裾を引き摺るようにして、一枚だけ羽织っている着
物の柄、そして、浮かべている无邪気な表情からすれば、五歳に足りている
かどうかも怪しい。
しかし、见た目に骗されてはならない。
彼女は、やはり幼女でも童女でもなく女なのだ。
その歳は、ゆうに三十を越えていて、どころか、出产さえ経験している。
女の名は、锖黒键と言う。
尾张幕府、今回の场合は家鸣将军家に直属で雇われている剣士であり、刺客
であり、そして暗杀者だ。
幕府の暗部を担う十一人众と、一人で匹敌するといわれる腕の持ち主で、剣
圣とさえ呼ばれている。
歴史上、最も强い剣士とも、あるいは端的に、死神とも呼ばれていた。
「鑢家、鑢家、虚刀『鑢』。まっ、四季崎のお父様が作られた作品の中では
最高峰とはいえ、未だ未完成のはずなんだけれどにゃあん。なのに、どうし
てあの领域まで达しているのかなにゃあん。ううん、どうやらあの反乱もの
に、引っ张り上げられているということなのかにゃあん」
舌足らずな独り言も、决して声を潜めたりはしない。
谁に闻かれても自分は构わないというように、黒键は堂々と大きな声で口に
する。
「あの破天荒で型破りな男、飞騨にゃんの、改窜された歴史の修正という目
的自体は、あの否定的なおかたの思想とは相反するものなんだろうけれど、
しかし场合によっては、それを上手く利用できなくもないんだけどにゃあん
。あのおかた一味のやってることも、必ずしも计画通りってわけじゃなく、
微调整をしまくっている段阶なんだしにゃあん。ううん、いっそう思い切っ
て、飞騨にゃんが将军をぶっ杀してくれたほうが助かっちゃったりするかも
しれないんだにゃあん」
将军家に仕える者でありながら、信じられないような台词を、言っただけで
打ち首になりかねない台词を、しかし臆面もなく言いつつ、黒键は戦いの推
移を见守る。
「ただまあ、飞騨にゃんは正直、そこまでするつもりはないんだろうにゃあ
ん。志が低いっていうのか、出来ることしかやらない现実主义者っていうか
、いずれにしても、头が良过ぎるというのも考えものだにゃあん。结局、そ
れは飞騨にゃんじゃなくて、鑢家か锖家がやらなくちゃいけないことなのだ
ろうにゃあん」