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―今回はテーマが「快感」なんですが、「ジョジョの奇妙な冒険」というと謎解きや敵を倒す時の爽快感があって、そこには物語も描写も含めて面白い!という快感があると思うんです。お描きになってる立場として意識してらっしゃいますか?
やっぱりね、善とか悪ってあいまいじゃないですか。ある視点から見れば、悪も良い人かも知れないし。それは青年誌にいくとあいまいなんだけど、少年誌だとハッキリ分けないとダメなんですよ。例えば殺人鬼にも、生い立ちとか生活があったりして、その人を知れば知るほど味方したくなってきたりする。そうすると可哀想な人に思えてくるんですけど、そこを少年誌で描いちゃダメなんです。その人が敵じゃなくなってくるから。キャラは「主人公と比べたら完全に悪い人だ」っていう確実な線引きがあるから快感になるんじゃないかと思うんですよね。
―でも作品中にはそういう生い立ち的な部分も多く描かれてませんか?
だから、そういう部分を描くと快感みたいなものはなくなるかなと思うんですけど、大人の味わいとして「哀しいな」みたいなのは出てくると思うんです。でも最初はとにかく悪いヤツだっていう風に決めつけて描いていかないとダメなんですよ。で、戦いが終わってから味方にしたりとか、バックボーンを描いたり、いろいろしますけど。
―そういう意味では少年誌で悪役の人生を描くと、物語のスピードが止まっちゃうところがある、と。
そうでしょうね。大人のマンガと子供のマンガの区別っていうのは多分そこだと思うんですけど。善と悪がわかりやすいというか。
―子供にはこう、善と悪がハッキリして、たたみかけるようなのが。
でも、「あんまりいつまでも子供でいちゃいけないよ」とか思うんですけど。単純なもんじゃないよ、あとあとの人生は、と(笑)。
―それから画面描写!特に肉体の破壊される描写がすごくて、快感に繋がっていると思うんですよ。
あれはただ、グロく見せようとかそういうものじゃなく、肉体を破壊するってことを絵の楽しさとして描いてるんですよ。例えば、大友克洋先生の破壊って、コップがパズルのように壊れるじゃないですか。部品がハッキリと描かれてますよね。それを人間の体で描くのが面白いんですよ。古い人ですけど、レオナルド・ダ・ヴィンチは人間を描きたいために、「体の中はどうなっているんだろう」って解剖して筋肉のつき方まで見たっていいますけど、そういう気持ちなんじゃないかなと思うんですよね。
―なるほど・・・・・・。でもたまに、重力に反した曲がり方も描きますよね・・・・・・。
(笑)。そこがまた面白いんですけど。
―逆にわざとそういのを描くことが面白い?
そうですね。そういうところ快感かも知れない。絵を描かない人は、大変なんじゃないかとか、一体何時間かかるんだろうなとか考えるんでしょうけど、描いてる人はそういうことをあんまり恐れなくてもいいと思うんです。やってると楽しいですから。実は絵を描いてるところでそういうパズル的な面白さがあって、その辺は気持ちいいという感じがありますけど。
―確かにマンガ全体で感じるんですが、キャラが写実的に立ってるというより、変な格好でこう・・・・・・(と「ジョジョ」ポーズを取る)。
それもね、イタリア美術の影響がすごくあると思うんだよね。彫刻とかを見るのが好きなんですけど、ねじってたりするんですよ。妙なドラマチックなポーズっていうのかな?あれなんですね。こうね、腕の片方が上がるともう片方がグッと入るとか(と体をねじる)、一つのキマリ、流れがあるんですよ。なんか見てると分かるんですけど、そういうのが面白いんだよ。ねじるとさらに面白くなってくるというか。
―きちんと立つものじゃなく、ねじったりする方に魅力を感じるという。
普通じゃないっていうんですかね。普通に描いてたら普通の絵だけど、絵ってちょっと変な感じを取り入れるともっと面白くなると思うんですよ。ちょっと気持ち悪いとかね。まるっきり美しいよりちょっとケガしてるとか。
―純粋な造形美よりも、そこになんらかのドラマ性だとか、別な何かがある方がいいという感じですか?
そうでしょうね。写真とかでも完全な美人よりちょっとニキビがある方が面白いと思うんですよね。どうしちゃったんだろう?みたいな(笑)。だから、ちょっと変なものがやっぱ面白いと思うんですよ。その辺はまだ子供には分からないところもあるかも知れないんで、ツライとこではある(笑)。でも、中学とか高校になってきたら分かるんじゃないかな、って思うし。今のうちから教育しておけば(笑)。
―それから、コマ割りについてお聞きしたいんですけど、あの・・・・・・昔より変型ゴマ増えてますよね?ナナメに切ったりしてて、自在に操れるようになってるというか。
そうですか?まっすぐのコマもあると思うんですけど(笑)。ナナメになってたりするのはね、指が切れたりするからなんですよ。まっすぐにしてると小指が入んなかったりするので、コマの方を動かしてる、というか。
―じゃあ、重要な絵のためにコマの形を変えるという?
そうですね。あと、フキダシが入んないから、フキダシを作るためにずらすっていう(笑)。
―でもそれだけじゃないような気が・・・・・・。たまに丸いのとかありますよね。
ありますね。あれはほとんど表情ですね。目の動きとか。ただそれだけですね。
―それはご自分でパターンみたいなものがあるんですか?
そうですね。ちょっと欲しいと思うんですよ。主人公が何を考えてるかわかんないなと思ったときとか、ネームの後で足りないなと思ったときとか。で、丸いからどこにでも入るんですよ、アレ。
―今回はテーマが「快感」なんですが、「ジョジョの奇妙な冒険」というと謎解きや敵を倒す時の爽快感があって、そこには物語も描写も含めて面白い!という快感があると思うんです。お描きになってる立場として意識してらっしゃいますか?
やっぱりね、善とか悪ってあいまいじゃないですか。ある視点から見れば、悪も良い人かも知れないし。それは青年誌にいくとあいまいなんだけど、少年誌だとハッキリ分けないとダメなんですよ。例えば殺人鬼にも、生い立ちとか生活があったりして、その人を知れば知るほど味方したくなってきたりする。そうすると可哀想な人に思えてくるんですけど、そこを少年誌で描いちゃダメなんです。その人が敵じゃなくなってくるから。キャラは「主人公と比べたら完全に悪い人だ」っていう確実な線引きがあるから快感になるんじゃないかと思うんですよね。
―でも作品中にはそういう生い立ち的な部分も多く描かれてませんか?
だから、そういう部分を描くと快感みたいなものはなくなるかなと思うんですけど、大人の味わいとして「哀しいな」みたいなのは出てくると思うんです。でも最初はとにかく悪いヤツだっていう風に決めつけて描いていかないとダメなんですよ。で、戦いが終わってから味方にしたりとか、バックボーンを描いたり、いろいろしますけど。
―そういう意味では少年誌で悪役の人生を描くと、物語のスピードが止まっちゃうところがある、と。
そうでしょうね。大人のマンガと子供のマンガの区別っていうのは多分そこだと思うんですけど。善と悪がわかりやすいというか。
―子供にはこう、善と悪がハッキリして、たたみかけるようなのが。
でも、「あんまりいつまでも子供でいちゃいけないよ」とか思うんですけど。単純なもんじゃないよ、あとあとの人生は、と(笑)。
―それから画面描写!特に肉体の破壊される描写がすごくて、快感に繋がっていると思うんですよ。
あれはただ、グロく見せようとかそういうものじゃなく、肉体を破壊するってことを絵の楽しさとして描いてるんですよ。例えば、大友克洋先生の破壊って、コップがパズルのように壊れるじゃないですか。部品がハッキリと描かれてますよね。それを人間の体で描くのが面白いんですよ。古い人ですけど、レオナルド・ダ・ヴィンチは人間を描きたいために、「体の中はどうなっているんだろう」って解剖して筋肉のつき方まで見たっていいますけど、そういう気持ちなんじゃないかなと思うんですよね。
―なるほど・・・・・・。でもたまに、重力に反した曲がり方も描きますよね・・・・・・。
(笑)。そこがまた面白いんですけど。
―逆にわざとそういのを描くことが面白い?
そうですね。そういうところ快感かも知れない。絵を描かない人は、大変なんじゃないかとか、一体何時間かかるんだろうなとか考えるんでしょうけど、描いてる人はそういうことをあんまり恐れなくてもいいと思うんです。やってると楽しいですから。実は絵を描いてるところでそういうパズル的な面白さがあって、その辺は気持ちいいという感じがありますけど。
―確かにマンガ全体で感じるんですが、キャラが写実的に立ってるというより、変な格好でこう・・・・・・(と「ジョジョ」ポーズを取る)。
それもね、イタリア美術の影響がすごくあると思うんだよね。彫刻とかを見るのが好きなんですけど、ねじってたりするんですよ。妙なドラマチックなポーズっていうのかな?あれなんですね。こうね、腕の片方が上がるともう片方がグッと入るとか(と体をねじる)、一つのキマリ、流れがあるんですよ。なんか見てると分かるんですけど、そういうのが面白いんだよ。ねじるとさらに面白くなってくるというか。
―きちんと立つものじゃなく、ねじったりする方に魅力を感じるという。
普通じゃないっていうんですかね。普通に描いてたら普通の絵だけど、絵ってちょっと変な感じを取り入れるともっと面白くなると思うんですよ。ちょっと気持ち悪いとかね。まるっきり美しいよりちょっとケガしてるとか。
―純粋な造形美よりも、そこになんらかのドラマ性だとか、別な何かがある方がいいという感じですか?
そうでしょうね。写真とかでも完全な美人よりちょっとニキビがある方が面白いと思うんですよね。どうしちゃったんだろう?みたいな(笑)。だから、ちょっと変なものがやっぱ面白いと思うんですよ。その辺はまだ子供には分からないところもあるかも知れないんで、ツライとこではある(笑)。でも、中学とか高校になってきたら分かるんじゃないかな、って思うし。今のうちから教育しておけば(笑)。
―それから、コマ割りについてお聞きしたいんですけど、あの・・・・・・昔より変型ゴマ増えてますよね?ナナメに切ったりしてて、自在に操れるようになってるというか。
そうですか?まっすぐのコマもあると思うんですけど(笑)。ナナメになってたりするのはね、指が切れたりするからなんですよ。まっすぐにしてると小指が入んなかったりするので、コマの方を動かしてる、というか。
―じゃあ、重要な絵のためにコマの形を変えるという?
そうですね。あと、フキダシが入んないから、フキダシを作るためにずらすっていう(笑)。
―でもそれだけじゃないような気が・・・・・・。たまに丸いのとかありますよね。
ありますね。あれはほとんど表情ですね。目の動きとか。ただそれだけですね。
―それはご自分でパターンみたいなものがあるんですか?
そうですね。ちょっと欲しいと思うんですよ。主人公が何を考えてるかわかんないなと思ったときとか、ネームの後で足りないなと思ったときとか。で、丸いからどこにでも入るんですよ、アレ。