4月8日(土) 0週3日
今日は入学式があるため、土曜日だけど登校している。
校内を歩いているといつもより見られている気がした。
新入生が居るからというのもあるけれど、トレードマークだった銀髪のロングヘアーをセミロングのポニーテールに変えたのも大きいだろう。
知り合いにも会う度に驚かれた。
「髪型だけじゃなくて雰囲気も休み前とは違っているね」
と、今年もクラスメイトになった純に言われた。
「何かを我慢しているような思い詰めた感じがなくなって、明るく柔らかくなった気がする」
俺にできることが見つかって前を向けたからだと思う。処女じゃなくなった影響は……多分ないと信じたい。
「恋愛関係で悩んでいたのがふっきれたとか?」
「そんなところ、かな……」
とわざと伏目がちに言うとそれ以上聞かれることは無かった。どうせ本当のことを話すのは絶対に無理だ。だったら、勘違いさせて置いた方が良いだろう。
それにあながち間違ってもいなかった。
いつもならぐいぐいと突っ込んできそうな純が控え目だったのは、自分は山崎くんと順調だからそのことで私が傷つくかもしれないと気づかってくれているのだろう。
クラスが変わったタイミングなので、他の女子からも深く聞かれなかったのは幸いだった。
クラスの女子達は敵と味方とそれ以外を識別する友達作りに忙しそうにしている。
私も何人かと挨拶して当たり障りのない話をしたけれど、女子達の輪に入るのは相変わらず苦手だった。社交的な優奈や純のフォローがなければクラスで浮いてしまっていたかもしれない。
うちの学校の入学式は体育館で在校生全員が出席して行われる。二年前に新入生として参加したときと同じだった。
去年もそうだったんだろうな。
そのときのことを想像して胸が痛くなる。本来なら在校生の中に居るはずの俺が居ないことで、優奈にどれだけ寂しい思いをさせてしまったのだろう。
もう優奈を悲しませたりはしない。
隣に立つ姉を見上げて心の中で誓いを新たにしていると、視線に気づいた優奈が不思議そうに首を傾げた。『どうしたの?』と念話で聞いてきたので、『なんでもない』と首を小さく振って、壇上で話をする校長先生に向き直る。
入学式が終わると在校生は退場して新入生に対する部活動紹介が始まった。
俺達ウィソ部も新入部員を勧誘するためにステージに立つことになっていたのだが……
『なんで、こんなときに大きくしてるのさ!』
発表前の舞台袖で、俺は蒼汰に文句を言った。
他の人に聞かれていいような内容じゃなかったので念話を使っている。
『しかたねぇだろ、治まんねぇんだから……』
聞けば昨日くらいからずっと勃起しっぱなしらしい。自分と交わした約束が原因である以上、それ以上蒼汰を責めることはできなくて。
『……なんとかばれないように誤魔化してて。勧誘は私がするから』
そうしているうちに俺達の出番がやってきた。
俺と蒼汰の二人でステージに上がる。
……結果は大失敗だった。
ステージに立った俺がマイクで部活動の紹介をしている間、蒼汰は両手をズボンのポケットに入れて、前のめりに立っていた。
眉間に皺を寄せたその姿は、傍から見ると周囲を睨みつけて威嚇しているようにしか見えず、新入生を軒並みドン引きさせてしまったようだった。
俺のトークで必死に誤魔化したけど、逆にちぐはぐ感が際立って、ヤバい部活と思われたに違いない。
部活動紹介が終わって見学時間になっても、部室への見学希望者は一人も来なかった。
「こんなことなら、女子だけで説明すれば良かったかな」
トレーディングカードゲームのプレイヤー人口は基本的に大きく男性に傾いている。蒼汰以外女子部員であるうちの部はその例外中の例外だった。
だから、男子が居ないと入り辛くなるかもしれないと気を回したのが今回の敗因だろう。
「すまん……全く面目もない」
「ま、まぁ、勧誘が失敗に終わったと決まった訳じゃないし」
まだ挽回するチャンスはあるだろう……多分。
もともと蒼汰が俺のために作ってくれた同好会だけど、せっかくだから部活として続いて盛り上がってほしいと思うから、勧誘もがんばりたい。
見学時間が終わったら、今日はもう学校でやることはない。その後は蒼汰との約束を果たすことになる。
私は蒼汰と一旦別れて別々にマンションに向かった。一緒に下校して部屋に入るところを誰かに見られたらまずいだろうと、話し合ってそうすることにした。
それと、蒼汰にはマンションに来る時間を一時間ほど遅らせてほしいとお願いしていた。別に焦らしている訳ではなくて、準備をしておきたかったから。
マンションについた私は、お風呂と一緒になっているトイレでナプキンを処理する。出血はほとんど止まっているみたいで安心した。
使用済のナプキンをここに捨てるのには抵抗があるので、黒いポリ袋に入れておいて後でコンビニのトイレにでも捨てることにする。
それから、制服を脱いでシャワーを浴びた。
髪はタオルでまとめて濡らさないようにして、体だけさっと洗う。
バスルームから出てから、体を拭いて持ってきた新しい下着に履き替えた。ダークグレーのサニタリーショーツに、パッド付きのキャミソール。
それから、マンションに置いている着替えの中からシンプルな萌黄色のワンピースを取り出して着る。
香水をつけるかどうか少し迷ったけど、なんとなく恥ずかしくてやめておいた。制汗剤だけ吹いておく。
これで準備完了だ。
「時間、余っちゃったな」
まだ蒼汰が来る時間まで三十分ほど猶予があった。
「なんだか落ち着かない」
もう来ても大丈夫とメッセージするか迷ったけれど、私が待ち切れないって思われるのもなんだか嫌だ。
「……少し、ほぐしておこうかな」
今日の蒼汰の様子から考えると、余裕のある扱いをされるとはとても思えない。それ自体は私自身が望んだ結果だから受け入れるけど、なるべく痛くないに越したことはない。
そのために準備するのは理に適っているだろう。
……別に私がエッチな訳じゃないから。
そう自分自身に言い訳をしながら、汚れないようにベッドにタオルを敷く。その上にちょこんと腰を下ろして、おもむろにワンピースをたくし上げた。
そして、右手をその場所に導く。
「んっ……」
久し振りの感触に体がぴくんと跳ねる。自分でするのなんていつぶりだろうか。最近は優奈にしてもらってばかりだったことを思い出して恥ずかしくなる。
人差し指と薬指を割れ目に這わせるように前後させる。ざらざらしたサニタリーショーツの触り心地がいつもと違っていて、もどかしさを味わうように、指をゆっくりと交互に動かしていく。
「はぁ……ん……」
慣れない場所で一人エッチするのは緊張する。なんとなく罪悪感もあって、私は漏れ出る声を押し殺す。
この場所で私は何度も蒼汰に抱かれた。
どうしてもそのときのことが思い出されてしまう。
「……あいつ、気持ちよさそうだったな」
特に私によって理性の箍が外された後の蒼汰はすごかった。
私に対する気遣いをすべて忘れるくらい必死になって腰を振り、何度も何度も私の奥を突き立てて、ただひたすら自分が気持ちよくなるために遠慮なく私を使っていた。
そして、一番深いところに押し付けて爆発するような射精。ドクドクと力強く精子を吐き出す脈動。私を妊娠させるという雄の本能に従ったものだった。
「あんなふうに射精だしたら気持ちいいんだろうな……んっ……」
我慢できなくなった私は下着を膝まで下ろして、クリトリスに直接触れた。そこは女の子のおちんちんで、円を描くようにくりくりすると、おちんちんの先っぽを刺激したときと同じピリピリとした快感が体中に広がる。
「んんっ! ふぁぅ……!」
気持ちいい。
だけど、そこをどれだけこねくりまわしても射精することはできない。
それどころか、今日は逆に切なくなるばかりで。
「なん、で? んっ……くぅ……」
気持ちいいのに何かが足りない。まるでお預けを食らっているかのように中途半端に燻っている。
イきたいのにイけないもどかしさに、身体の深いところが疼いて止まらない。
私に向けられる情欲に満ちた蒼汰の視線。
パンパンにはち切れんばかりの大きいペニス。
「あれが、私に入ったんだ……んっ……」
体の中を押し広げられる窮屈さに異物感。
出し入れされる度に無理矢理体に刻み込まれていくような錯覚。
それは、痛くて苦しいだけ。
気持ちがよいはずもない、独りよがりな行為。
だけど、今私はそのときのことを思い出していて。
よくわからない感情が蠢いて、心がざわめく。
蒼汰の大きな両手でがっちりと腰を固定されて、まるでオナホになったかのように扱われていた。蒼汰が気持ちよくなるためだけの道具になったあのとき。
力任せに痛いだけ、蹂躙されていたと言っていいくらいの乱暴な行為に。
「んっ……ふぁっ」
私の体の深いところがずきずきと疼く。
これは痛みを思い出したからだろうか。
痒いところに手が届かないようなもどかしさは増すばかりで、切なさが募るばかりだった。
「……」
もやもやを解消しようと、私はベッドサイドからローションを取り出しすと、容器からどろどろの液体を手のひらに出した。
指でこねると液体が糸を引いてぬちゃぬちゃと嫌らしい音と立てる。私はその手を股間に持っていくと、エッチになっているところ全体に塗り拡げるように指を動かした。
そして、意を決して指を折り曲げると、するりと抵抗なく指が入っていく。
「ひぃあ!?」
……痛くはなかった。
恐る恐る、指のおなかで中を掻くように動かすと、鈍い快楽がお腹に響いてくる。それは私が無意識に求めていた刺激で。
「んんっ! ふぁぅ……!」
自分で指を入れた一人エッチは、ほとんどしたことなかった。優奈にされたときのことを思い出しながら、気持ちよくなれる場所を探す。
くちゅくちゅちゅと恥ずかしい音が部屋に響いてしまっていて、それがとても恥ずかしくて興奮してしまう。
「んっ……あぁ……!」
体がびくびくと震える。
ようやくイけそうな気がして、私は時間も忘れてその行為に没頭していた。
「アリス……?」
だから、いつの間にか部屋の中に居た蒼汰に話しかけられたときは、本気で頭の中が真っ白になった。
「ひゃ、ひゃい!? 蒼汰、なんで……!」
「なんでって……約束の時間になったから来たんだが」
「ち、違うの! これは――!」
何が違うというのだろう。
ワンピースははだけて、胸も露わで、しっとりと湿った下着は半脱ぎで僅かに足首に絡みついているばかり。ナニをしていたか明白だった。
「お前すげぇエロい……このまましていいか?」
「ちょっ! まって! あっ……やぁ……」
蒼汰は荒々しく服を脱ぎながらベッドに上がり、全裸になって伸し掛かってきた。
私はそのまま押し倒されてしまう。
「こんな姿見せられて我慢なんてできねぇよ……いいか?」
蒼汰は既に理性を失いそうなくらい興奮していた。
視線を下げると股間にはパンパンにはちきれそうなペニスが苦しそうで。
……アレを入れられてしまうんだ。
そう思ったら体がゾクっと震えた。
精力剤を飲みながらオナ禁した蒼汰はどれだけ激しく求めてくるのだろう。お腹の中がいっぱいになるくらい赤ちゃんの種を注いでくれるに違いない。
それはきっと痛くて苦しいことだろうけど、アリシアに繋がる可能性が増えるのは嬉しいことで。
だから、私がそれを求めるのはおかしくないこと。
「うん、いいよ……来て、蒼汰」
私は蒼汰の顔に触れながら、微笑んだ。
今日は入学式があるため、土曜日だけど登校している。
校内を歩いているといつもより見られている気がした。
新入生が居るからというのもあるけれど、トレードマークだった銀髪のロングヘアーをセミロングのポニーテールに変えたのも大きいだろう。
知り合いにも会う度に驚かれた。
「髪型だけじゃなくて雰囲気も休み前とは違っているね」
と、今年もクラスメイトになった純に言われた。
「何かを我慢しているような思い詰めた感じがなくなって、明るく柔らかくなった気がする」
俺にできることが見つかって前を向けたからだと思う。処女じゃなくなった影響は……多分ないと信じたい。
「恋愛関係で悩んでいたのがふっきれたとか?」
「そんなところ、かな……」
とわざと伏目がちに言うとそれ以上聞かれることは無かった。どうせ本当のことを話すのは絶対に無理だ。だったら、勘違いさせて置いた方が良いだろう。
それにあながち間違ってもいなかった。
いつもならぐいぐいと突っ込んできそうな純が控え目だったのは、自分は山崎くんと順調だからそのことで私が傷つくかもしれないと気づかってくれているのだろう。
クラスが変わったタイミングなので、他の女子からも深く聞かれなかったのは幸いだった。
クラスの女子達は敵と味方とそれ以外を識別する友達作りに忙しそうにしている。
私も何人かと挨拶して当たり障りのない話をしたけれど、女子達の輪に入るのは相変わらず苦手だった。社交的な優奈や純のフォローがなければクラスで浮いてしまっていたかもしれない。
うちの学校の入学式は体育館で在校生全員が出席して行われる。二年前に新入生として参加したときと同じだった。
去年もそうだったんだろうな。
そのときのことを想像して胸が痛くなる。本来なら在校生の中に居るはずの俺が居ないことで、優奈にどれだけ寂しい思いをさせてしまったのだろう。
もう優奈を悲しませたりはしない。
隣に立つ姉を見上げて心の中で誓いを新たにしていると、視線に気づいた優奈が不思議そうに首を傾げた。『どうしたの?』と念話で聞いてきたので、『なんでもない』と首を小さく振って、壇上で話をする校長先生に向き直る。
入学式が終わると在校生は退場して新入生に対する部活動紹介が始まった。
俺達ウィソ部も新入部員を勧誘するためにステージに立つことになっていたのだが……
『なんで、こんなときに大きくしてるのさ!』
発表前の舞台袖で、俺は蒼汰に文句を言った。
他の人に聞かれていいような内容じゃなかったので念話を使っている。
『しかたねぇだろ、治まんねぇんだから……』
聞けば昨日くらいからずっと勃起しっぱなしらしい。自分と交わした約束が原因である以上、それ以上蒼汰を責めることはできなくて。
『……なんとかばれないように誤魔化してて。勧誘は私がするから』
そうしているうちに俺達の出番がやってきた。
俺と蒼汰の二人でステージに上がる。
……結果は大失敗だった。
ステージに立った俺がマイクで部活動の紹介をしている間、蒼汰は両手をズボンのポケットに入れて、前のめりに立っていた。
眉間に皺を寄せたその姿は、傍から見ると周囲を睨みつけて威嚇しているようにしか見えず、新入生を軒並みドン引きさせてしまったようだった。
俺のトークで必死に誤魔化したけど、逆にちぐはぐ感が際立って、ヤバい部活と思われたに違いない。
部活動紹介が終わって見学時間になっても、部室への見学希望者は一人も来なかった。
「こんなことなら、女子だけで説明すれば良かったかな」
トレーディングカードゲームのプレイヤー人口は基本的に大きく男性に傾いている。蒼汰以外女子部員であるうちの部はその例外中の例外だった。
だから、男子が居ないと入り辛くなるかもしれないと気を回したのが今回の敗因だろう。
「すまん……全く面目もない」
「ま、まぁ、勧誘が失敗に終わったと決まった訳じゃないし」
まだ挽回するチャンスはあるだろう……多分。
もともと蒼汰が俺のために作ってくれた同好会だけど、せっかくだから部活として続いて盛り上がってほしいと思うから、勧誘もがんばりたい。
見学時間が終わったら、今日はもう学校でやることはない。その後は蒼汰との約束を果たすことになる。
私は蒼汰と一旦別れて別々にマンションに向かった。一緒に下校して部屋に入るところを誰かに見られたらまずいだろうと、話し合ってそうすることにした。
それと、蒼汰にはマンションに来る時間を一時間ほど遅らせてほしいとお願いしていた。別に焦らしている訳ではなくて、準備をしておきたかったから。
マンションについた私は、お風呂と一緒になっているトイレでナプキンを処理する。出血はほとんど止まっているみたいで安心した。
使用済のナプキンをここに捨てるのには抵抗があるので、黒いポリ袋に入れておいて後でコンビニのトイレにでも捨てることにする。
それから、制服を脱いでシャワーを浴びた。
髪はタオルでまとめて濡らさないようにして、体だけさっと洗う。
バスルームから出てから、体を拭いて持ってきた新しい下着に履き替えた。ダークグレーのサニタリーショーツに、パッド付きのキャミソール。
それから、マンションに置いている着替えの中からシンプルな萌黄色のワンピースを取り出して着る。
香水をつけるかどうか少し迷ったけど、なんとなく恥ずかしくてやめておいた。制汗剤だけ吹いておく。
これで準備完了だ。
「時間、余っちゃったな」
まだ蒼汰が来る時間まで三十分ほど猶予があった。
「なんだか落ち着かない」
もう来ても大丈夫とメッセージするか迷ったけれど、私が待ち切れないって思われるのもなんだか嫌だ。
「……少し、ほぐしておこうかな」
今日の蒼汰の様子から考えると、余裕のある扱いをされるとはとても思えない。それ自体は私自身が望んだ結果だから受け入れるけど、なるべく痛くないに越したことはない。
そのために準備するのは理に適っているだろう。
……別に私がエッチな訳じゃないから。
そう自分自身に言い訳をしながら、汚れないようにベッドにタオルを敷く。その上にちょこんと腰を下ろして、おもむろにワンピースをたくし上げた。
そして、右手をその場所に導く。
「んっ……」
久し振りの感触に体がぴくんと跳ねる。自分でするのなんていつぶりだろうか。最近は優奈にしてもらってばかりだったことを思い出して恥ずかしくなる。
人差し指と薬指を割れ目に這わせるように前後させる。ざらざらしたサニタリーショーツの触り心地がいつもと違っていて、もどかしさを味わうように、指をゆっくりと交互に動かしていく。
「はぁ……ん……」
慣れない場所で一人エッチするのは緊張する。なんとなく罪悪感もあって、私は漏れ出る声を押し殺す。
この場所で私は何度も蒼汰に抱かれた。
どうしてもそのときのことが思い出されてしまう。
「……あいつ、気持ちよさそうだったな」
特に私によって理性の箍が外された後の蒼汰はすごかった。
私に対する気遣いをすべて忘れるくらい必死になって腰を振り、何度も何度も私の奥を突き立てて、ただひたすら自分が気持ちよくなるために遠慮なく私を使っていた。
そして、一番深いところに押し付けて爆発するような射精。ドクドクと力強く精子を吐き出す脈動。私を妊娠させるという雄の本能に従ったものだった。
「あんなふうに射精だしたら気持ちいいんだろうな……んっ……」
我慢できなくなった私は下着を膝まで下ろして、クリトリスに直接触れた。そこは女の子のおちんちんで、円を描くようにくりくりすると、おちんちんの先っぽを刺激したときと同じピリピリとした快感が体中に広がる。
「んんっ! ふぁぅ……!」
気持ちいい。
だけど、そこをどれだけこねくりまわしても射精することはできない。
それどころか、今日は逆に切なくなるばかりで。
「なん、で? んっ……くぅ……」
気持ちいいのに何かが足りない。まるでお預けを食らっているかのように中途半端に燻っている。
イきたいのにイけないもどかしさに、身体の深いところが疼いて止まらない。
私に向けられる情欲に満ちた蒼汰の視線。
パンパンにはち切れんばかりの大きいペニス。
「あれが、私に入ったんだ……んっ……」
体の中を押し広げられる窮屈さに異物感。
出し入れされる度に無理矢理体に刻み込まれていくような錯覚。
それは、痛くて苦しいだけ。
気持ちがよいはずもない、独りよがりな行為。
だけど、今私はそのときのことを思い出していて。
よくわからない感情が蠢いて、心がざわめく。
蒼汰の大きな両手でがっちりと腰を固定されて、まるでオナホになったかのように扱われていた。蒼汰が気持ちよくなるためだけの道具になったあのとき。
力任せに痛いだけ、蹂躙されていたと言っていいくらいの乱暴な行為に。
「んっ……ふぁっ」
私の体の深いところがずきずきと疼く。
これは痛みを思い出したからだろうか。
痒いところに手が届かないようなもどかしさは増すばかりで、切なさが募るばかりだった。
「……」
もやもやを解消しようと、私はベッドサイドからローションを取り出しすと、容器からどろどろの液体を手のひらに出した。
指でこねると液体が糸を引いてぬちゃぬちゃと嫌らしい音と立てる。私はその手を股間に持っていくと、エッチになっているところ全体に塗り拡げるように指を動かした。
そして、意を決して指を折り曲げると、するりと抵抗なく指が入っていく。
「ひぃあ!?」
……痛くはなかった。
恐る恐る、指のおなかで中を掻くように動かすと、鈍い快楽がお腹に響いてくる。それは私が無意識に求めていた刺激で。
「んんっ! ふぁぅ……!」
自分で指を入れた一人エッチは、ほとんどしたことなかった。優奈にされたときのことを思い出しながら、気持ちよくなれる場所を探す。
くちゅくちゅちゅと恥ずかしい音が部屋に響いてしまっていて、それがとても恥ずかしくて興奮してしまう。
「んっ……あぁ……!」
体がびくびくと震える。
ようやくイけそうな気がして、私は時間も忘れてその行為に没頭していた。
「アリス……?」
だから、いつの間にか部屋の中に居た蒼汰に話しかけられたときは、本気で頭の中が真っ白になった。
「ひゃ、ひゃい!? 蒼汰、なんで……!」
「なんでって……約束の時間になったから来たんだが」
「ち、違うの! これは――!」
何が違うというのだろう。
ワンピースははだけて、胸も露わで、しっとりと湿った下着は半脱ぎで僅かに足首に絡みついているばかり。ナニをしていたか明白だった。
「お前すげぇエロい……このまましていいか?」
「ちょっ! まって! あっ……やぁ……」
蒼汰は荒々しく服を脱ぎながらベッドに上がり、全裸になって伸し掛かってきた。
私はそのまま押し倒されてしまう。
「こんな姿見せられて我慢なんてできねぇよ……いいか?」
蒼汰は既に理性を失いそうなくらい興奮していた。
視線を下げると股間にはパンパンにはちきれそうなペニスが苦しそうで。
……アレを入れられてしまうんだ。
そう思ったら体がゾクっと震えた。
精力剤を飲みながらオナ禁した蒼汰はどれだけ激しく求めてくるのだろう。お腹の中がいっぱいになるくらい赤ちゃんの種を注いでくれるに違いない。
それはきっと痛くて苦しいことだろうけど、アリシアに繋がる可能性が増えるのは嬉しいことで。
だから、私がそれを求めるのはおかしくないこと。
「うん、いいよ……来て、蒼汰」
私は蒼汰の顔に触れながら、微笑んだ。