正文:
3时间目が终わって休み时间に廊下をぶらついていると、番长がアメをくれた。なんでもネコマタさんとコラボした期间限定の商品らしい。
「このパッケージの表情が爱らしいだろ!?いやネコマタは爱らしいだけじゃねえけどよ!かっこいいからな!」
と力いっぱい语りつつ、パッケージに大きくネコマタさんが描かれたキャンディを手のひらにポトリと落としてくれたのだ。
「コラボ商品出たんだ!?ええっと、ありがとうございます、番长」
「おう」
礼を言ったあと、休み时间も终わりかけていたので慌ててアメをポケットにしまい、真冬は教室に向かった。次の授业は数学で、アメを舐めながら授业を受けたりした日にはチョークどころか黒板が飞んでくるかもしれないのだ。考えるだけで恐ろしい。
――――そんなこんなで真冬がポケットの中の饴の存在を思い出したのは、お昼を食べた后のことだった。
朝コンビニで买ったパンとおにぎりを食べ终わり、お茶を饮んで一息つく。ああ、廊下で突如発生するヤンキーの殴り合いも、他校が喧哗を売りにやって来ることも无い穏やかな昼休みって素晴らしい。
けれど、なにかが足りない…そう思って椅子から立ち上がり、隣でサンドイッチをぱくついていた早坂に声をかける。
「早坂くん、ちょっと购买で甘いもの买ってくるねー」
「おお」
はやく行かないと无くなるぞ。という亲切な忠告を背に、教室を出た真冬は足を速めると、校舎の外に出て购买へと向かった。
「购买なにが売ってたっけ、えーとメロンパンでしょ、あとはチョココロネとー…」
いくら持っているか确认するためにポケットから财布を取り出すと、その拍子に何かが転がり出てきた。反射的に手を伸ばし、地面に落ちる前にそれを受け止める。
「あ、アメ」
そうだ番长にアメを贳ったんだ!购买に行かなくて良くなったな、と思い立ち止まる。近くに生えていた木に寄りかかって包装纸をしげしげと眺めた。
「何味なんだろ」
アメをひっくり返してみるが、『男気!!』と大きく雄々しいフォントで书かれているだけだ。
「うーん书いてないな…」
まあいいか、と包装纸を破くと口の中に放り込む。そうしてから、食べる前にアメ玉の色を确认すればどんな味か予想できたかもしれない、と思い至ったがもう遅かった。キャンディ特有の甘さがふわりと広がる。
「りんご味?いや…さくらんぼかな」
でもネコマタさんにさくらんぼはちょっとミスマッチか、などと悩みながらアメを口の中で転がしていると。
「こんなとこで何やってんだ?」
隣人兼担任であり、幼驯染みでもある鹰臣が通りかかった。周りに谁もいないからか、いつもの呼び方だ。
「いやー、特になにも。なんだろこれ…」
美味しいんだけど、何の味って言われると悩むなぁ。とにかくアメの味の正体を早く知りたくて、真冬は难しい颜をして念った。
「お、饴舐めてんならくれ」
「あれ、鹰臣君って甘いもの好きなの?」
いつも酒と一绪につまみを食べている印象が强いせいか、鹰臣が甘味を欲しがるのがなんだか珍しく思えてそう讯ねる。
「あ?别に好きでも嫌いでもねーよ。今はそういう気分なんだよ」
だからアメ寄こせ、と真冬の目の前に立ってのたまう幼驯染み。相変わらず我がままである。ついでに言うと魔王だ。そんでもってジャイアンだ。
「残念でした、これは番长に一个だけ贳ったんだよ。何味かよくわかんないけど…」
「は?…オイオイお前、味わかってねーのか」
「いちご、いややっぱりんごかなぁ…。……?鹰臣くん?」
不意に头上に影ができたので、不思议に思って见上げる。身体をかがめた鹰臣がぐ、と真冬の身长より高い部分の木の干に右手をついた。
――――なに?と振り仰いだ表情は、见惯れたそれはそれは意地の悪い颜をしていて。
まずい。なんだかわからないがとにかくまずい予感がひしひしとする。走って逃げた方が良さそうだ――――そう瞬时に判断し足に力を込めた途端。
「…じゃあ、俺が确かめてやるよ」
「は?んんッ……!?」
ぬるり、と唇を割って入りこんでくる热いなにか。
「~~んぅ…!!」
それが真冬の小さな口の中を自由に动き、溶けかけたアメ玉を夺う。そのついでとばかりに、ちろりと歯を舐められて背筋が震えた。
ゆっくりと鹰臣が身を起こす。
「……ぁ…」
意図せず零れ落ちた吐息は、本当に自分の口から出たものだろうか。さっきまで逃げ出そうとしていたはずの足は地面に缝いつけられたかのように动かず、力が入らない。
木から手を离した鹰臣は口の中で二、三度アメを転がした。
「んー…いちご味だな」
ほら、赤いだろ?アメ玉を乗せた舌をつき出す。真冬は茫然とそれを见つめた。
……そうだ、ついさっき自分の中に入り込んで好き胜手していったのは、真冬の口の中で溶けて少し小さくなったアメの乗っかった、鹰臣の、赤い舌、だ。
そう理解した途端、物凄い速さで耳に热が集中したのがわかった。なんだこれ、なんだこれ!!!
「なななななな」
「なじゃねーよいちごだって言ってんだろこの味音痴」
そうじゃねーよこのセクパラ教师!そう言ってやりたいのに、言叶が喉のところで引っかかっているようで出てこない。ああ今きっと颜真っ赤なんだろうなだってものすごく热い。
ひたすら动揺している真冬を、彼はいかにも『満足した』と书いてあるような表情で见つめてくる。しばらくして、からかうように持ち上がっていた口角が不意に动いた。
「んじゃ、俺もう戻るから」
ああ、谁にも见られてねえぞ、良かったな。そう言って彼はくるりと校舎の方を向き、歩み去っていった。そういう问题なのかいやそういう问题だけどそれだけじゃないだろう!
かち合っていた鹰臣の视线が外れ、だんだんと足音が远ざかっていくのを耳にした真冬は、背中を干にくっつけてずるずると地面に座りこんだ。立てた膝の上で腕を交差させ、そこに真っ赤になっているであろう颜を隠すように埋める。
「あ、あのやろう…」
しばらく、いちご味のキャンディは食べられそうになかった。
终