とても面白いきっかけで今の左さんの名前が决まったんですね!その名前を使い続けてきたことで、何か変わった出来事に遭遇したり、プラスに働いたような出来事はありましたか?
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左さんがキャラクター原案を
担当したアニメ『フラクタル』
はい、それは仆が絵の仕事を本格的に受け始めたばかりの顷でした。コミュニケーションノートでのやり取りが活発だった时期から少し时代が进みまして、仆は自分のホームページを持つようになり、时同じくして同人志即売会などにも颜を出すようになりました。
そのときからちょうど、同人志即売会で名刺を交换した人や、サイトをご覧になった方からメールでお仕事の依頼をいただくようになっていきました。
そんなある时、PCゲームの原画の仕事をいただき、池袋にある会社に访れたのですが、初めて担当者の方とお会いしたときに、「左さんって…もしかして、昔あそこのゲームセンターのノートに絵を描いていた人じゃないですか?」と言われたんです。
しかも、その会社には当时ノートで絵のやりとりをしていた仲间の1人も働いていて!
まさかこんな形で昔の仲间に会えるなんて思ってもいませんでしたし、本当に嬉しかったですね。
ただでさえ仕事がもらえること自体が嬉しいのに、担当者の方に名前まで覚えてもらっていたことが本当に嬉しくて。
それからはもう、もともとは暂定的なペンネームのはずだった「左」という名前をずっと使って行こうと决心しました。
ニックネームから広がるネットワーク。とても面白いエピソードをありがとうございました。
さて、では具体的に左さんの絵のお仕事についてお闻きしたいと思います。
―左さんの絵は、线や色使いがとても绮丽で、特に奇抜でカラフルな作风ではないにもかかわらず、とても印象に残る作品が多いですよね。何か絵を描くときのこだわりなどがあったら教えてください。
そうですね、今学校で絵を学ばれている学生さんなどは、絵の勉强を始める段阶ですでにデジタルの机器を使っていたり、CGのグラフィックもたくさん目にしていると思います。
しかし仆が最初に絵を描き始めた顷は、まだギリギリでデジタル絵とアナログ絵の端境期でして、当然、絵を一番见ていた时期というのはマンガを始めとしたアナログのイラストでした。
だからなのか、デジタルでの作画环境になった今でも、アナログ时代に大切にしていた「まずは线を绮丽に描いてから色を涂る」という概念がとても强いことを自覚しています。
逆にCGやデジタル絵をたくさん见てからイラストレーターの业界に入った人は、まずは色を置きながら、面を合わせて絵を完成させていく倾向があります。自分も时代の流れに乗ろうと、一时期少しこの方法をマネしてみたのですが、これがどうもうまく行かなくて(笑)。
その経験を粮に、自分に合ったスタイルを探していったら今の作风にたどりついた。と言った感じでしょうか。
作画环境のお话が少し出ましたが、现在の作画环境について教えてください。
ちょうど今周PCを新调して、作业环境を大幅にパワーアップさせたばかりです。絵を描くときは『sai』というソフトを、最后の全体的な色合いの调整をPhotoshopで行なっています。仆が学生の顷はまだ『sai』は存在していなくて、本格的な作画环境を整えるにはPhotoshopかPainterを使うしかありませんでした。ただ、どちらも学生にしては高価なソフトウェアですので、当时の仆にはとても决心も要る买い物でしたね。
ただ、今の学生さんたちには『sai』という5千円で买える高性能な作画ツールがあるのでとても羡ましいです!(笑)
―作业中は何か音楽を聴いたり、DVDを流したりしていますか?
作业中はいつも音楽かラジオを聴いています。
よくこの业界のベテランさんになると、アニメのDVDやテレビをつけっぱなしで作业をするという话をよく耳にしますが、仆の场合はどうしてもテレビの内容が気になってしまって。
ラジオって、もともと视聴者には画面が见えないことを前提に番组が作られているじゃないですか。すべて音声で内容を完结できるようになっているのが、ラジオの一番の魅力です。あと、こうした仕事をしていると、テレビや新闻を自分から见ないと世の中のことがまったくわからなくなってしまうんですよね。そういう时事的な情报をしっかり把握しておくためもあって、よくラジオを聴いています。
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文库本の表纸やゲームのキャラクターなど、现在も多くの作品を手がけています
ありがとうございます。では、现在のお仕事のお话をお闻かせいただきたいのですが、左さんはイラストレーターとして约10年の月日を経ているわけですが、この职业に大切なものは何だと思いますか?
そうですね、絵を描いて10年くらい経った今思うのは、やはり「よく意见交换をすること」だと思います。技术を向上させることはもちろんですが、経験や年数が増えていくと、自然と相手にするお客さんの规模、その规模に比例してお客さんが求めてくるもののクオリティもどんどん比例して上がっていきます。
そこで「何を求められているのか」を、絵に着手する前にしっかりと忠実に汲み取ることがとても大切になってきます。
仆の体験谈にはなりますが、何度デザインを上げても、「うーん、ちょっと违うんだよね」となり、これを缲り返すことは必ず谁しもあります。しかしこれが続くときというのは、作品のクオリティ云々という以前に、最初に见ている方向が违かったというパターンがほとんどなんですね。
仆なんかの场合、一度言われたことがあるのが「左さんの絵は真面目さがにじみ出ていますね」という言叶です。
しかしそう言われると今度はクライアントさんからの要望を真面目に闻きすぎてしまって、また偏った作品を提出してしまう。そうすることで今度はクライアントさんに「こういう风にして欲しい」というキーワードを出すことを萎缩させてしまったりして。
いくら仕事とは言えども、人と人との関系性で成り立っているものですからね。なので最近は、手を动かすことももちろんですけど、その作业に入る前に、必ずよく意见交换をするというプロセスを重视するようになりました。
「意见交换をしっかりしておくこと」。クライアントさんのためにも自分のためにも、本当に大切ですね。
そうして充実したイラストレーターとしての生活を讴歌している左さん。今、楽しいですか?
それはもちろん楽しいですよ!
これってすごく逆说的な话になるのかもしれないのですが、自分が「不完全」な状态だからとても楽しいんです。
仕事をしている中で、「あー、ここをもっと直せばもっと良い絵になるのにな…。」と思う部分は毎回たくさんあります。そうやって自分の絵に対して课题を见つけ、解决していくそのプロセスを経ることって、确実に「成长している」ってことじゃないですか。自分で自分が「今、成长できているな」って思えることって幸せなことですよね。
「まだまだ自分は絵が上手くなれるはずだ!」って。
ただ、これが「自分の描いた絵は完璧で、自分ではすごく良いキャラクターを描けたはずなのに、そのキャラクターがどうしても世间では受け入れられない」となってしまった时がとても怖いです。よく『上りの努力は楽しいけど、下りの努力は苦しい』って言うじゃないですか。きっと今の仆はまだまだ上りの努力の途中なんですよね。
市场が求めるものとのズレが自分の中に発生してしまうことや、経験値が饱和状态になることが仆が一番恐れていることです。いつまでも、柔软な姿势で临めたらいいなと思っています。
この学校ではこれから业界を目指す若い世代の学生がたくさん在籍していますが、左さんはこの业界で生き残って行くには、何が大切だと思いますか?
仆が大切にしてきたことは、より多くの素晴らしい作品と出会って、その作品をよく研究してみることです。
それも、なぜ自分はその絵を素晴らしいと思って、どういう部分に惹かれたのかを、ふと立ち止まって考えてみてください。例えば仆の场合、ある女性のイラストレーターさんの作品を见るたびに、その色使いなどに感激してしまうのですが、感激して终わり。ではなくて、感激と同时に、その絵に比べて自分の絵には何が足りないのかを知ることを大切にしてください。
「センス」という言叶って、なんだか「生まれ持った才能」のようなニュアンスが含まれていますよね。でも仆は、センスや感性は、他の优れた作品をよく研究することで手に入ることが可能なものだと思っています。
とにかく絵をがむしゃらに描くという根性论でもなければ、生まれ持ったセンスで描いてごらんというものでもなく、程良いバランス感覚を保ちながら、良い作品に出会い、研究して、试してみる。この缲り返しを大切にしてください。
最后に、これから业界を目指す若い世代の皆さんにメッセージをお愿いします。
こうしたメッセージをお愿いされたとき、イラストレーターさんによってハッキリ次の2つの意见に别れると思います。
「すごく楽しいからぜひ目指してみなよ!」という人と「大変な业界だからもっと慎重になった方がいいよ。」という人。
确かに、イラストレーターという职业そのものがまだ新しく、なかなか著作権使用料だけで食べていくのが难しい部分があるのは确かです。努力したからと言って必ず结果がついて来るとも限らず、成功する保证がないことも确かです。
仆も地元の友达の多くが、会社に勤めて、结婚して、子どもを作って…という人生を歩んでいて、その姿を见て、自分は一日中絵を描いて、休憩がてらにゲームをしたりアニメを见たりして…あれ?仆だけ子どものときと何も変わってないじゃん(笑)なんて思って、みんながすごく大人に见えた时期もありました。
だけど、それでも仆は「すごく楽しいからぜひ目指してみなよ!」と言う方の人间なんですね。
好きなものに打ち込んで、顽张っている时间ってやっぱり何事にも変えがたい充実感を得られるんですよ。
だから仆は若い人たちには「未来は明るいよ!」と言いたいんです。
それには実はもうひとつ理由があります。
例えば小さい顷に「マンガ家になりたい!」と思った少年がいたとします。彼はおそらくジャンプなどに连载していて、すごいヒットを飞ばしているマンガ家さんを见てそういう梦を持つわけですよね。それはひとつの「成功した例」を见ているのであって、それがそのまま「梦」へと変化するわけですね。
人って、1个の前例があることでそれが「梦」に変わって、モチベーションにも変化が生まれてくるんです。
仆も一イラストレイターとして、そういう「成功例」になりえる人、将来谁かにとって憧れる存在になる可能性のある人には、どんどんこの业界に入ってきて欲しいと愿っています。
イラストレーターとして成功し、谁かにとっての希望や梦になるのは、あなたかもしれません。
ぜひ、一绪にこの业界を盛り上げていきましょう!
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多くの仕事を抱え、この日も缔め切り间近にもかかわらずお话を闻かせてくださった左さん、本当にどうもありがとうございました。
なお、AMGキャラクターデザイン学科のパンフレットは、左さんのイラストが表纸となっています。AMGのカリキュラムや产学共同事业、デビュー・就职のための支援体制などを掲载したパンフレットを无料で配布しています。