天羽 玲
「えっ! MADLips、知らない?
デビューからずっとチャート1位が指定席の、
あの売れっ子バンドだよ?」
望月 和音
「そうなんだ……。向こうだと、日本のバンドはなかなか全部押えられなくて」
天羽 玲
「そっか、望月先辈は帰国子女だっけ。
ちょっと待ってて、ネットで検索すれば何かいいものが……」
白石 聡真
「待って、玲。ネットもいいけど、
ちょうどいい雑志がここにあるよ」
そう言って白石くんが席を立つ。向かった先には、
雑志やCDが饰られている棚があった。
望月 和音
(よく见れば、あちこちにポスターが……。
すごい、日本に来てからテレビで见かけた人たちのもある!)
望月 和音
(そっか、会社のロビーっていったら、ビジネスの场でもあるんだ……)
白石 聡真
「これとかどうかな?
MADLipsの特集记事が掲载されているものなんだけど……」
九条 骏
「あ? 巻头グラビアまであんのか?
アイドルみてえだな」
莲水 秋
「使える手段は使うべきだと、俺は思う。
きっかけがなんであれ、最终的に音楽を聴いてもらえるならそれでいい」
九条 骏
「……まあ、それもそうか。
つか、俺たちには関系ない话だったな」
天羽 玲
「あっ、见てみて! すごい、カッコイイよ」
白石 聡真
「右から、ベースの橘伊织さん」
白石 聡真
「ドラムの和泉悠さんに……」
白石 聡真
「ボーカルの神崎馨さん」
白石 聡真
「その隣が――……」
白石くんが言い淀み、ふいに沈黙が访れた。
望月 和音
(莲水くんも天羽くんも、なんだか表情が
暗い気がする……。もしかして、
以前にこの人と何かあったのかな?)
気まずい沈黙を破ったのは、九条先辈だった。
九条 骏
「残る1人が、ギターの黒瀬环さんだ」
