徒然草第三段
原文: よろずにいみじくとも、色好まざらん男はいとさうざうしく①、玉の杯(さかづき)の底なき②ここちぞすべき。露霜③(つゆじも)にしほたれて④、所定めずまどひありき、亲の谏(いさめ)、世の谤(そしり)をつつむに⑤心の暇なく、あふさきるさに⑥思ひみだれ、さるは⑦、独寝がちにまどろむ夜なきこそをかしけれ。さりとて、ひとすらたはれ⑧たる方にはあらで、女にたやすからず⑨思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。
文语解読: ①さうざうしく:物足らない。还有遗憾,不够满足。
②玉の杯の底なき:改自《文选》“且夫玉卮无当,虽宝非用。”
③露霜:露や霜。《万叶集》中“露霜”为“由露而变成的霜”的意思。
④しほたれ:衣服被沾湿。
⑤つつむに:つつむ为忌惮,顾忌。つつむに为类似很谨慎一般。
⑥あふさきるさに:あれこれ思うこと。
⑦さるは:さあるは的简约语。并且,而且,虽然是那样等等的意思。《源氏物语》中用例很多。
⑧たやすからず:“た”为接头语。
现代语訳:たとい万事に优れていても、恋の情趣を理解しなかろうような男は、(谁が见れも)はなはだものたりなく、(せっかくりっぱな)玉の杯の底がないような気が、きっとするであろう。(夜の)露にうたれ、(暁の)霜にぬれて、何処ということなくあちこち歩き回り(などして)、亲の意见や世间の非难をはばかることで心の余裕もなく、一方がよければ一方が悪いというようなことで思い乱れ、そのくせひとり寝することが多くて(烦闷のために)とろとろと寝る夜もない(というような)のこそ(はたから见ていて)おもしろい。(しかし、このように恋に忧き身をやつしている)とはいっても、ただむやみと色にふけるといるのではなくて、女からくみしやすくはない人だとおもわれようことこそ、望ましいはずのことである。
中国语訳: 事事能干却不解风情的男子,好比没有杯底的玉杯,中看不中用。相比之下,彷徨无计,流离失所,整日里晨霜夜露,疲于奔命,既怕听父母的训诫,又担心世人的讥讽,时时刻刻心中慌乱不安,而常常孤枕难眠,这样的日子,倒是其味无穷。只要不一味沉迷于女色,且让女子知道自己不是随意苟且之人,就比较得体了。
解读参考: 人间としての「あらまほしきこと」の一つとして、恋爱情调の理解をあげたのである。自分の中に、利己と没我と、大胆と小心と、情と理と、幸と不幸とがめまぐるしいまでにあじりあって、おのずと一个の自分の心をゆたかにして行く、それが「色好み」の効用である。

原文: よろずにいみじくとも、色好まざらん男はいとさうざうしく①、玉の杯(さかづき)の底なき②ここちぞすべき。露霜③(つゆじも)にしほたれて④、所定めずまどひありき、亲の谏(いさめ)、世の谤(そしり)をつつむに⑤心の暇なく、あふさきるさに⑥思ひみだれ、さるは⑦、独寝がちにまどろむ夜なきこそをかしけれ。さりとて、ひとすらたはれ⑧たる方にはあらで、女にたやすからず⑨思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。
文语解読: ①さうざうしく:物足らない。还有遗憾,不够满足。
②玉の杯の底なき:改自《文选》“且夫玉卮无当,虽宝非用。”
③露霜:露や霜。《万叶集》中“露霜”为“由露而变成的霜”的意思。
④しほたれ:衣服被沾湿。
⑤つつむに:つつむ为忌惮,顾忌。つつむに为类似很谨慎一般。
⑥あふさきるさに:あれこれ思うこと。
⑦さるは:さあるは的简约语。并且,而且,虽然是那样等等的意思。《源氏物语》中用例很多。
⑧たやすからず:“た”为接头语。
现代语訳:たとい万事に优れていても、恋の情趣を理解しなかろうような男は、(谁が见れも)はなはだものたりなく、(せっかくりっぱな)玉の杯の底がないような気が、きっとするであろう。(夜の)露にうたれ、(暁の)霜にぬれて、何処ということなくあちこち歩き回り(などして)、亲の意见や世间の非难をはばかることで心の余裕もなく、一方がよければ一方が悪いというようなことで思い乱れ、そのくせひとり寝することが多くて(烦闷のために)とろとろと寝る夜もない(というような)のこそ(はたから见ていて)おもしろい。(しかし、このように恋に忧き身をやつしている)とはいっても、ただむやみと色にふけるといるのではなくて、女からくみしやすくはない人だとおもわれようことこそ、望ましいはずのことである。
中国语訳: 事事能干却不解风情的男子,好比没有杯底的玉杯,中看不中用。相比之下,彷徨无计,流离失所,整日里晨霜夜露,疲于奔命,既怕听父母的训诫,又担心世人的讥讽,时时刻刻心中慌乱不安,而常常孤枕难眠,这样的日子,倒是其味无穷。只要不一味沉迷于女色,且让女子知道自己不是随意苟且之人,就比较得体了。
解读参考: 人间としての「あらまほしきこと」の一つとして、恋爱情调の理解をあげたのである。自分の中に、利己と没我と、大胆と小心と、情と理と、幸と不幸とがめまぐるしいまでにあじりあって、おのずと一个の自分の心をゆたかにして行く、それが「色好み」の効用である。
