From Editors 1

ほめられる写真家ってのは、フォトジェニックでもある。こちらは、今回大特集した、ブルータスでお驯染みの伊藤彻也さんの撮影シーン。犬に爱されすぎているこの男のページ裏话は担当ライターの村冈俊也から、どうぞ。
ほめて、ほめられて、そしてまた撮る。
写真がうまくなるコツって、これだったんだ!
ブルータス最长の连载企画『人间関系』。92年から続いており、今年で21年目。巨匠・篠山纪信が総势483组を一度も休むことなく撮り続けてきた。ボクがこの连载の担当になって6年目の今も、百戦錬磨の仕事ぶりは、まいど“物语のある现场”。撮影秘话、そして篠山纪信名语录だけで、1册の本ができるくらいなのである。その中から、ひとつエピソードを。
现在、メジャーリーグで活跃する青木宣亲选手を撮影する时のこと。シーズン200本安打を打つなど、押しも押されぬTOP PLAYERの青木选手に、先生(ボクたちは、篠山さんのことをこう呼ぶ)が、はじめの挨拶で「青木さん、野球うまいですね〜」と言ったのだ。“青木选手が野球がうまい“言わずもがな、なはずなのだが、先生は言った。すると青木选手が満面の笑みで「ありがとうございます!」と返し、撮影は始まった。撮影后、「プロになると、みんなストレートにほめてもらえない。当たり前なことこそ、きちんとほめたほうがいい。自分も现场で『写真がうまい!』って言われると嬉しくて、がんばれるんだから」と先生が言った。数えきれないほどの写真を撮り続けてきた男が。たしかに、いまだにほめられると嬉しそうに写真を撮っている。ほめられる、それが巨匠たる所以であり、いい写真を撮る原动力なのだ。
FacebookやInstagramなど、自分が撮った写真を他人にほめてもらえるチャンスがいま、たくさんある。『いいね!』をいっぱいもらえれば、それは、また次に撮る写真がうまくなる肥料となるはずだ。
ほめられる写真を撮ろう、そして写真をほめよう。みんなで一绪に写真、うまくなろう!
●杉江宣洋(本志担当编集)
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From Editors 2

『旅に行きたくなる』特集。ラオスで、造花の阴に隠れて写真を撮ることを要求する伊藤カメラマン。Tシャツと坊主头が眩しい。こうやってスキを作って、懐に飞び込んでいく。
ボウズで派手で最高なカメラマン。
伊藤彻也が爱される理由。
およそ9年前、憧れのブルータスでの初仕事で撮影をお愿いしたカメラマンが伊藤彻也さんだった。『サーフィン』特集で、镰仓の海でサーファーのスナップを撮るという仕事。撮影前に言われた「15时以降の光じゃないと撮らないから」という言叶にビックリした。マジか。ブルータス、やっぱり违うわ。今になってみれば、海から上がってきたサーファーの笑颜を撮るためには、夕方の斜めからの光が必要で、やわらかいニュアンスを出したかったということはすんなり理解できる。けれど、写真もろくに知らない駆け出しのライターには、伊藤さんの言叶は少し怖かった。
『サーフィン』特集以降、伊藤さんとは国内外、本当にいろんな场所を旅した。『ヨガ』特集ではインドの修行寺のシャワーもない部屋で寝起きし、『COOL JAPAN』特集では、ロシアの赤の広场でコスプレギャルを撮影していて警察に捕まりそうになった。撮影の度、伊藤さんは少しずつ写真を撮るときのポイントを教えてくれた。本人は教えている気なんてなかっただろうけれど。
伊藤さんと仕事をしたことのあるライターや编集者は、必ずと言っていいほど、被写体へのしつこさや絵作りに対する细やかさに、闭口しつつ尊敬の念を抱いて、夜の饮みっぷりにその尊敬を打ち砕かれて、好きになる。背が低くて、头はボウズで、派手な服装をしている筋肉质のオッサンに、どうしてあんなにカッコいい絵が撮れるのか。そのギャップに仕事を頼まずにはいられなくなる。
伊藤さんは、カメラマンだ。自身で作品を発表しているわけではない。必然、志面でインタビューが取り上げられることなどない。けれども、少なくともこの9年间、谁よりもブルータスで写真を撮ってきたのは伊藤さんなのだ。ならば、写真特集で话を闻くべきは伊藤さんの写真术についてなんじゃないだろうか。そんなシンプルな発想から、ブルータス志面を作例とした伊藤さんのページを作った。事务所に何度も通ってふたりで写真を选ぶ作业は、この9年间を振り返るような、ちょっとセンチメンタルな时间だった。
初めてのサーファーのスナップから今年の『旅に行きたくなる』特集のラオスまで、伊藤さんから仆が学んだ9年间の写真についての诸々が诘まったページになったと思う。とても実践的で、写真を撮ることの楽しさを感じることができるはず。伊藤さんのページを担当することができるなんて、とても幸せな仕事だった。
●村冈俊也(本志担当ライター)