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【搬运】P站上排位很高的赤黑←黄文 动物のお医者さん・に

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作者:祭仔
member ID:5220905
黒子の獣医・二话目。诚凛のターンです。 ■一话目はたくさんの阅覧、评価、ブクマ、本当にありがとうございます。正直かなりおののきましたが、春眠暁を覚えずの精神で最后まで书ききりたいと思います(言っていることがおかしい)。タグとブクマコメも嬉しかったです。ありがとうございました。


IP属地:湖北来自Android客户端1楼2013-04-05 22:39回复
     自分の教室に入った黒子はクラスメイトに挨拶をする。黒子、あたまあたま! と几人かの男子生徒がおかしげに茶化した。似合いますかと问えば、先周のハムスターより似合ってる、というお墨付きをもらう。友人たちはやはり明日からの苦行が头から离れないのか、つーかテストやべー、とすぐに话を飞ばした。
    「つか火神は? 一绪じゃねーの?」
    「さあ。……遅刻ですかね」
     友人の所在を闻かれ、黒子は素直に首をかしげた。
     病欠の心配は心からしていない。なぜなら火神だから。意外に寝起きがいいので寝过ごしたということもないだろう。おそらく近所のストバス场で时间を忘れてボールを追いかけているのだと思う。连络をしようかと思ったが、どうせ今からでは间に合わない。
     そう思っていたとき、ふと窓の外の苍天にぽつんと异质なものが见えたので、黒子は「いらない心配だったな」とため息をついた。
    「来たみたいです」
    「あ?」
    「ほら」
     不思议そうな颜をするクラスメイトに窓の外を指差す黒子。
     そこには、気持ちよさげに空を駆けてくる、大きな白い虎の姿があった。
    「ずっけー……カード登校かよあいつ」
    「あのカード、绝対火神の人生救ってるぜ」
    「そりゃあ火神くんのために生まれたカードですから」
     黒子が自明の理を口にするが、クラスメイトたちの反応は薄い。
    「そういう意味じゃなくてだな。なんつーかこう、ズルいんだよ。俺が遅刻しそうになったって俺のカードは空飞べねえもん」
    「同感」
    「まあ仆もあんなにすごいカード他で见たことありませんけど」
     黒子は素直に同意した。
     黒子のクラスメイト、火神大我のカードはすごい。どれくらいすごいかって、多分県内一と言って差し支えないレベルですごい。
     火神のカードは赤い目をした白い虎だ。例に漏れず常は手乗りサイズでまるっきり猫のような姿をしているが、「进化」すればライオンほどの大きさになる。しかもおまけに空を飞ぶ。羽もないのに。解せない。なぜだ。今だって火神の虎はまるで优雅な猫のように风の上を移动していて、徒歩で二十分かかる距离をわずか一分で制覇してしまうのだ。
     きっと日本全体で见たって十本の指に入るカード。そんな火神はアメリカからの帰国子女だ。なんでまたこんな田舎町に。都会とか行きたくなかったのか。闻いたら本人は至って凉しい颜で、「なんでって知らねえけど。亲の都合だろ。タツヤだって北の方の田舎行ったぜ?」と言う。タツヤというのが谁のことかはわからないが、彼の颜に不満らしき色はない。あまり多くのことにこだわらないのだろうさっぱりした気质の火神は、意外なほどこの田舎町に驯染んでいた。
     音もなく校舎に近寄った虎の上には、案の定、そのカードの主である彼がいる。背が高く(なにを食べて育った)、精悍な面立ちをしている友人の「窓开けてくれ」というジェスチャーに、仕方なしに黒子が动いた。键を开け、からり、缓やかに窓を开けると、飞び込んできた白い虎が教室の中で「进化」を解く。势いそのまま、ちいさな猫ほどの大きさになった虎がわーいという感じで黒子の胸にダイブする。头や頬を擦り付けて、カードは际限なく黒子に甘えた。
    「サンキュ。いやーヤバかったわ。気がついたら三分前で」
    「朝からとらを酷使しないであげてください」
     とらというのは火神の虎の名前である。ヒネリがまるでないため、ある意味究极にわかりやすい名前となっている。
    「いんだよ、コイツ空走るの好きだし。……お前头になにくっつけてんの? うおっ、とら、食うな!」
    「こら、とら」
     黒子の头に居座る黄色の蝶を食べようとしたとらを黒子がやんわり押しとどめると、とらは「えー」という感じで「にー」と鸣いた。
    I


    IP属地:湖北来自Android客户端3楼2013-04-05 22:43
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      2025-05-18 04:51:39
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       蝶ととら以外にも、気づけば黒子の周囲には様々なカードがひしめいている。一反木绵に羊、本。きのこ、たけのこ、花、小鸟。これらは黒子が呼び寄せたわけではなく、カードの方から胜手に寄ってくるのだった。自分のカードが事あるごとに黒子の傍に寄っていくことにも惯れ、クラスメイトたちは朗らかに笑っている。これはカードたちが本能で行う充电のようなものだと彼らは経験から理解していた。详细なカラクリは不明だが、カードに対する黒子の影响力は半端なく、実际、このクラスに在籍する生徒のカードが体调を崩す率は0%を夸っていた。
      「おーっす! 黒子いるー?」
       そのとき、教室に一学年上の先辈、小金井が现れた。彼はなぜだかカードでいっぱいのダンボールを抱えていた。おはようございますと言いつつ黒子が彼の方に歩いて行くと、黒子の到达を待つより先にダンボールの中のカードたちがわーきゃー叫んで一斉に黒子に向かって飞び出した。それは充电が目的というより、もういいよわかったよホントお前ら黒子のこと好きだよな……ともいうべき光景だった。
      「うちのクラス、今日一时间目から体育になったんだわ。マジありえないよなーテスト前に。……つーことで、急で悪いけどこいつら预かってくれー」
      「いいですよ」
       わきゃわきゃ騒ぐカードたちの中に小金井の猫と伊月の鹫を见留め、黒子はふわりと柔らかく微笑む。
       通常、体育の授业であろうともカードは主と共にいる。しかし、特别な用があるわけでもなし、そこまでひっついていなくてもいいわけで、最终的にはカードの自由意思に委ねられる。そこで视线を斜めにずらすとこの学校にはカードたちが爱してやまない黒子がいるわけで、结果、「体育の授业中、カードは常に黒子に预けられる」いう习惯が生まれたのだった。
       そんなこんなで黒子は朝からいよいよカードまみれになっていた。
      ***
      「黒子ー、カードに埋もれすぎだぞー」
      「はあ、すみません」
       担任教师の出欠确认は主に黒子の姿の视认一点で终了する。
       明日からのテスト以外に特别连络もないらしく、「テスト中、全てのカードは体育馆に预けられる。各々カードにそう言い闻かせとけよ」とだけ教师は言って、朝のホームルームはお开きとなった。
      「数学に英语……あと古典、か……」
      「重点科目は古典ですね。せめて二十点は取れるようにしましょう」
      「むしろ古典を省いた他の二科で胜负した方がよくねえ? 古典とか零点でも


      IP属地:湖北来自Android客户端4楼2013-04-05 22:43
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        俺気にしねえし」
        「仆も気にしませんが君は気にした方がいいと思います。アメリカでニンジャの由来を闻かれたとき答えられた方がかっこいいじゃないですか」
        「古典ってニンジャ関系あんの!?」
         今夜の古典攻めを思い、せめて今日ばかりは学校でヤツに遭遇したくねえなと切望する火神だが、そういうときに限って一时间目から古典なのがツッコミ役のお约束だ。いい机会です、先生の言叶は古典の神の言叶、一言も闻き漏らさないでください、黒子にそう言われた火神は、さっそく头から烟を喷きそうになっている。
         いつもと违い、教师の温情でテストの予习に近い授业が展开される中、ふと、
        「うわ、なんだアレ、すっげ……」
         さして大きくも高くもない声が教室中に响いた。前列窓际の生徒の声だった。
         言叶につられるようにして教师や生徒が外を见る。土の校庭では小金井のクラスが体育の授业でサッカーをやっていた。けれどみんなが目を向けるのは「眼下」ではなく、火神がとらに乗ってやってきたときと同様「上空」ともいうべき角度である。
         ――空になにかが浮いている。
         黄色くふさふさしたあれは……动物?
        「カード……だよな?」
        「……狐?」
         空にあるのは常ならぬもの。
         道なき道を一直线に、こちらに向かって駆けてくる。
         阳の光を受けて辉く、黄金色の毛皮。
         地を走るはずの獣が、羽もないのに空を飞んでいる。
        「なにあれ……」
        「こっちくるぞ……」
         尾が、多い。十本くらいあるかもしれない。
         それはまるで黄色い炎を背负っているかのようで、ゆらめく体积が加わることが、来访者の姿を余计に大きく、不吉に见せた。
         ぽつぽつと教室のあちこちから生徒たちの不安げな声がこぼれはじめる。
        「なんか……ええ? だいじょうぶか……?」
        「おい火神、一応とらを进化させといた方が」
        「アホ」
         そんな逆に喧哗売るみたいな态度に出て相手を刺激してどうする。言叶にしない分、火神の表情は雄弁だ。
         黒子はいつも通りの无表情でその光景を眺めている。
        「やだ……なに?」
        「……オイオイオイオイ」
         落ち着け。怯えて怖がる生徒たちの动揺を制そうと、古典教师が声を上げる。
        「だって……火神のとら以外にあんなカードがいるなんて」
         ――怖い。
         要するに、それが生徒たちの心情をいちばん的确に言い表した言叶だった。
         カードというものは、通常は手のひらサイズ、几度か进化を重ねたとしても大型犬や子马ほどの大きさに留まるのが普通だ。
         なのに、あの空にいる见惯れぬ獣のしなやかな体躯は、下手をすれば普通车よりも大きい。
         それは同时に潜在能力の大きさをも表していて、あれが万が一にも炎や雷を操る个体であったなら、この学校の窓际に座る生徒たちは即座に全灭する。自分のカードという比较対象を持つ生徒たちには、一瞬でそれがわかってしまうのだ。
         未だかつて日本でそんな凄惨な事件が起こった例はないが、海外の戦地や后进国、例え先进国でも一部の物騒な地域では、カードを使った袭撃事件が后を绝たない现実がある。
         おそらく今、この学校のすべての教室で、困惑と戸惑いを込めた生徒たちの目が、窓の外に向けられているのだろう。
         カードという存在が当たり前になった昨今でさえ、あのレベルの个体は非日常としかいいようがない。
         ――幸いにも、袭撃や交戦が目的ではないらしく、獣はふわり、校庭に舞い降りる。
        「……大丈夫……みたい?」
        「……焦ったー」
         狐の背から降りた影は二つ。なんだか远目にもやけに目立つ人物たちだ。
         校庭にいる生徒たちは呆気にとられてボールを追う作业をやめていた。
         果敢にも来访者に向かって歩き出した体育教师が、数十秒间身振り手振りを交わした后、二名を案内するように校内に向け歩き出す。どうやら警戒が必要な相手ではないと判断したようだ。
         そうなると、来访者の意図などひとつしかないようなものだ。
        「……黒子の客かな」
        「そうじゃね?」
         実际、今までにも外部から黒子の噂を闻きつけてこの学校に人がやってくることはあった。カードのスケールは违うが、今回もそういったことなのかもしれない。
         案の定、その数分后に校内放送が入る。
        『――黒子くん、黒子テツヤくん。至急応接室に来るように』
         やっぱりか。クラスメイトとおそらく教师を含めた全校生徒は、その放送を闻いて安堵の息を吐きだした。
        「……黒子、行ってこい。火神。ついて行ってやれ」
        「はい」
        「ウス」
         古典教师の言叶にふたりは颔く。
         こういった事态のとき、火神が黒子の护卫役に駆り出されるのはいつものことになっていた。


        IP属地:湖北6楼2013-04-06 22:21
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          ***
           いやー行かないでーと騒ぐ无数のカードたちを駄目です教室で待っていてくださいと宥める作业が长引いて、応接室についたのはそれから七分后のことになった。
           遅いと怒ってキレてなきゃいいけどと思うが、そんなときのための火神ととらだ。自分の肩に阵取るとらの柔らかな重みを感じつつ、一瞬迷ったものの髪に朝预かった黄色い蝶を贴り付けたまま、黒子は応接室に向かって歩いた。
          「いいか、俺の后ろから出るなよ」
           と用心深く火神が言うが、
          「失礼します」
          「闻けよ人の话!」
           男らしくガラリと戸を开け、まるで顿着なく応接室に入っていく黒子。まどろっこしいのは嫌いである。
           そこには赤い髪と黄色の髪をした世にも目立つ人物がふたりいて、访れた黒子を「じっと」と「ぎょっと」の合间の目で眺めていた。
          「どうも。はじめまして、黒子テツヤです」
          「テメーは! 意表を突くな! 警戒心を持て!」
          「……はじめまして。……君がカードの病を愈す『テっちゃ……』いや、生徒?」
           火神の剣幕を他所に赤い髪の少年が切り出す。清洁そうで清冽で、なんだか帝王学でも习っていそうな雰囲気のひとだ。
          「あなたがどういう话を闻いて来たのか知らないし、できることとできないことがありますが、そうです」
          「オラ下がれ! ……まあ闻かなくても大体わかるが、コイツになんの用だよ。どっちが客だ?」
          「……仆は东京から来た帝光学园高等部一年の赤司征十郎。こっちは同じく黄瀬凉太」
           気を取り直した様子で、赤い髪の少年が凉やかな声で流丽に挨拶をした。
           连れの方に目を向けると、黄色の髪を持つ彼は火神并みに背が高く、颜の造りが半端なく整っていた。品定めするように黒子を眺める目は长い睫毛に縁どられていて切れ长で、ただそこに立っているだけなのに无駄にキラキラして见えた。
           その彼の第一声が、
          「つーか影薄っ……」
           だったのは、むしろ礼を尽くそうとする赤い髪の少年の诚意にとって予想外の敌であったことだろう。
          「……それが人に物頼む态度かよイケメン」
          「事実だし」
          「はい。现実的に事実ですし、相対的に否定しきれません。二人ともすごいですね。ああいうの「オーラ」って言うんでしょうか、火神くん」
          「感心すんな!」
           黒子がそういう悪意をまったく意に介さないタイプだったのは、双方にとってまことに幸运な现実であった。
          「つーかアンタは谁な訳? 黒子クンのお兄さん?」
          「どう见ても似てねえだろ! タメだよ! 俺はコイツのダチでお守役で护卫! お前らが物騒な登场の仕方すっから付けられたんだろうが!」
          「授业中に騒がせて済まなかった。あの狐は凉太のカードで、诊てもらいたいのは仆のカードだ」
           気が合わない割に会话は滞りなく进んでいる。确かに黄瀬という名のイケメンの肩には小さな狐が乗っていて、赤司という名の珍しい色合いの目を持つ少年はペットケージを持っている。だけどなぜだかケージの入口には布がかかっていて、中の様子を窥い知ることができない。
          (夜行性の獣?)
           黒子に思いつくことはそれくらいしかない。
           会う前から黒子のことを信じると决めていたらしい赤司が、踌躇う様子もなくケージを开け、かけていた布を取り外す。
           そこにいたのは、硝子のような赤い鳞を持つ、一体の极小の竜だった。
          「「――え?」」
           黒子と火神は息もピッタリ绝句する。
           ――え、なにこれ……待っ、え……本物……?
           ……ちいさい……なんかぐったりしてるけど可爱い……。
          「「……………」」
           头の中で色々なことを考え尽くしたであろう十数秒后、ふたりが発した言叶は、
          I


          IP属地:湖北7楼2013-04-06 22:22
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            「「……はじめて见た……」」
             であり、これまた完全にかぶっていた。
             西洋の物语に出てくる竜をそのままミニチュア化したような子竜を优しい手つきで赤司が抱き上げる。……なんてことだ、一部分だけ竜が混ざったキメラではなく、マジで纯粋な竜だ。
             诊てくれ、というようにこちらに竜を差し出してくる彼だが、黒子は竜をまじまじと见るだけで、手を伸ばそうとはしなかった。
            「うお……えー……マジでかすげえ。……でもやっぱ、あー……なんか辛そうだな」
            「ずっとこんな调子だ。とにかく君に诊て欲しくて」
            「……竜なんて见るのもはじめてです」
            「おそらくそうだろうと思っていた。だが君はどんな种のカードでも治せるんだろう?」
            「……すこし待ってください」
             黒子は自らを落ち着かせるように细く长く息を吐いた。
            「……赤い古竜……ですね。恐竜や翼竜といった竜系は进化の大きさが桁外れになると闻いたことがありますが、本当なんでしょうか」
            「そうだね。もう长らくしてないが。最大でこの学校の体育馆より大きくなるだろう」
            「すごいですね(そんなに大きくなる獣、都会でどうやってのびのびと育てるんでしょう……)。一度见てみたいです。……名前は?」
            「かがり」
             赤司が抱き上げる竜に黒子は未だ触らない。だけど目を离すことはできなくて、やがてそれは単纯な兴味から问题を见极めようとする医师のように真剣さを増していった。
            「かがり……。この状态はいつから?」
            「一ヶ月ほど前から」
            「ご饭は食べているんでしょうか」
            「流动食を与えている。竜にいいかは知らないが、病身にはいいだろうという判断で」
             その后、黒子がいくつかの质问をして、赤司がいくつかの质问に答えた。それを见ていた火神は「珍しいな」と思ったが、口には出さずに沈黙を通していた。
             基本、黒子は脊髄反射の闪きによってカードの治愈方法を决めていく。それは本能が叩き出す天启のようなもので、そこにカードの病状という「情报」は必要ない。黒子はただ「见るだけ」で、事によっては「闻くだけ」で全てを终わらせられる能を持つ。なのにこうまで根掘り叶掘り闻き出そうとするのは、
            (……余程竜が珍しいんだな)
             おそらくそういうことなのだろうと思う。まあ自分だって珍しくたまげたので、黒子の気持ちはよくわかった。
            「……ホントにアレがカードを治せんの?」
             そのときぽつりと声がした。赤司の连れの声だった。火神が视线を向けると、黄瀬は赤司と话している黒子の姿を疑わしげな目で眺めていた。
             ――さっきからやけに突っかかるなコイツ。
             そう思って、火神は斜めから黄瀬を见た。
             彼がなにを基准に相手を评価しているのか知らないが、おそらく黄瀬は黒子に「すごいオーラが全然ない」ところに失望したのだろう。こういうことは今までにもあった。実绩に裏打ちされた贯禄が彼にまるでないことに、ほとんどの客は当惑を隠せないのだ。まして、绮丽なものや优れたもので己を饰る黄瀬のような「わかりやすい」男には、纯粋なものや柔らかいもので周りを均す黒子のようなほわっとした少年の真価は、理解も评価もし辛いのかもしれなかった。
            「……お前のカード、やけにそわそわしてっけど」
            「え?」
             かわりに火神は言ってやる。
            「黒子がこの部屋に入ってきてからだ。お前の肩の上ずっと落ち着きなく走り回ってるだろ。――それってあいつの傍に行きたいからなんだぜ」
            「…………」
             黄瀬が目を丸くするが、あとは黒子が実绩でねじ伏せることだ。火神はそれ以上言わなかった。
            「全治や完治は望まない。今の状态からすこしでも良くしてもらえたらそれだけでありがたい。それと、胜手な頼みだが、できれば仆がここに竜を连れてきて君がそれを诊たということはくれぐれも内密にしてもらいたい。仆のためにも、君自身のためにも」
            I


            IP属地:湖北8楼2013-04-06 22:22
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              「……わかりました」
               一方で黒子と赤司の会话も终わりそうだった。一度瞬いたものの话の内容を吟味する素振りもなく、黒子は颔いた。
              「では预からせてもらいます。明日から期末テストで今日は午前授业なのでとりあえずお昼まで。そうですね……カードの主が一绪にいた方が治りは早いので、今日はこのまま応接室を借りて――」
               あ、とそこで黒子が呟く。それを受けて火神が「どうした?」と闻いた。
              「ええ……。あの、赤司くん……でしたよね。それと黄佐くん?」
              「黄瀬! なにキサって!」
              「ああはい黄瀬くん。――あの仆、谁かのカードを诊ることでお礼を要求したことは一度もないんですけど、今日、ひとつだけおふたりにお愿いしたいことがあるんです。いいですか?」
              「はあ? なに? 困ってる人の足元见るわけ? 赤司っちに恩着せてなに望むつもり?」
               そのときふと、火神は、あ、と瞬いた。さっきから顽なな黄瀬の态度に今度こそピンときた。――これはアレだ、贤い犬がいっぱいいっぱいの主人を守ろうとして相手を精一杯警戒、威吓する姿だ。そうとわかれば火神の中で黄瀬の好感度が1上がった(1/42195)。
              「凉太。――构わない。なんでも言ってくれ」
              「ありがとうございます、助かります。――実は明日のテストなんですが、科目のひとつに古典がありまして、そこにいる火神くんは古典の比类なき壊灭王にして二试合连続无得点というタイトルホルダーなんです。なので、おふたりのうちどちらか勉强が苦手でない方に火神くんにつきっきりで古典を教えてもらえないかと」
              「「え!!」」
               叫んだのは火神と黄瀬、同时だった。
              「おまっ……なんっ……ざけんな!」
              「スゲーこと頼むねアンタ……」
               反拨一色に彩られる火神の声と、畏怖と感叹の中にもなぜだか「勇者だ……」という感动が见て取れる黄瀬の声。
               声を上げなかった赤司はどこ吹く风で、彼はしばし沈黙したあと、それはそれはにこやかな笑颜を浮かべて、こう答えた。
              「――お安い御用だとも」
              「……俺はッ! 教室に戻る! じゃあな黒子! とらは贷しといてやるぜ!」
              「とら。火神くんを捕获してください」
              「ぐっ、……とらテメ、なに黒子に従ってんだ! お前の主は俺だろが! 离せ!」
               嫌な予感を大放出する本能に従って逃亡を図ろうとするも、进化したとらに首根っこを咥えられ、黄瀬に深い同情の眼差しを向けられる羽目になった火神の図。
              「仆だって君の古典に対する前卫的かつ呉越同舟を拒みたくなる読解力のなさに他人を巻き込むのは不本意です。だけどさすがに竜の面倒を见ながら火神くんの古典も见るなんて真似はできませんし」
              「そりゃそうかもしんねーけど、俺にも拒否権ってもんがあんだろうが! なんかあいつは嫌だ、心から嫌だ!」
              「我侭を言わないでください。大丈夫です、あんなに头が良さそうな人なんです。きっと五十点は取れるようにカスタマイズしてくれます」
              「だから嫌なんだろうがぁあ!」
              「かすみと同じくらい大きいな。こんな田舎にこれほどのカードがいるとは」
              「……俺のカードの方が绮丽っス」
               黄瀬がごねたときだ。黄瀬の狐がもう我慢できないとばかりに主の肩から飞び出した。
              「わっ」
               狐は黒子の肩に乗り、黒子の颜にその頬を何度も何度もすり寄せた。その甘えようから、先ほどからとらが乗っていた黒子の肩に、もうずっと前から乗りたくて仕方なかったのだろうと思われた。
              「かわいい狐ですね。名前は?」
              「…………かすみ」
               黄瀬がぶすっとした颜で言う。
               その日、诚凛高校の応接室は、赤と赤と黄色と水色の生徒に半日占领されることになったのだった。


              IP属地:湖北9楼2013-04-06 22:22
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