■ 执笔にあたって ・・・ 前川洋一
戦国时代末期、天下人、信长、秀吉、家康を感叹せしめた人物がいました。その名は黒田官兵卫。秀吉に天下を取らせた稀代の军师として、その名を后世に伝えています。
官兵卫は播州の小大名の家老でした。三十歳の时、秀吉と出会い、歴史の表舞台に登场します。そして、水を得た鱼のように、持ち前の智力をいかんなく発挥し、数々の戦を胜利に导き、秀吉の天下取りを演出します。
その彼の歩んだ道のりが実に面白いのです。歴史の流れと、うまく络み合い、まさに事実は小说より奇なり。フィクショ ンのような出来事が、歴史的事実として次々と起こるのです。
主君に裏切られ、一年间地下牢に幽闭されたり、毛利军との戦いの最中、本能寺の変が起こり、茫然自失の秀吉の尻を叩き、中国大返しの演出をしたり……枚挙にいとまがありません。
さらに、官兵卫を取り巻く人々も、强烈な个性の持ち主ばかり。戦国乱世、生き残るためには、裏切りなどは日常茶饭事。忠义などというものは江戸时代に入ってからの概念で、この顷の武士は自分や家を守るためには、きれいごとなど言っていられないのです。
官兵卫もまた、几度も裏切られ、痛い目を见ます。しかし、彼は决して人を裏切らない正直者でした。だからこそ、敌は彼の言叶を信じ、说得に応じるのです。そこが彼の魅力の一つと言えるでしょう。
「人に媚びず、富贵を望まず」
官兵卫の言叶です。彼は信义を重んじた无欲な男でした。
そんな官兵卫を通して、见えてくる戦国の世。そこには、现代にも通じる人间の面白さ、悲しさ、滑稽さが诘まっていて、见る者を决して饱きさせないでしょう。 [作者プロフィール]
1993年、映画「ゴト师株式会社」でデビュー。主な作品に连続ドラマ「OUT」民放连赏最优秀赏など受赏の「空飞ぶタイヤ」NHKでも「氷壁」(ABU赏最优秀赏) 「桂ちづる诊察日录」「阳だまりの树」など多数。